涼しげな空気の漂う、豊かな水源が広がっている。
水の流れる音を聞きながら、二つの影は進み続ける。

人形を洗うため腕の布を外している間に、
何かを見つけたのか人形がちょこちょこと走っていく。

人形が興味津々な様子で跳ねまわるその中心には、小さな魚のような生き物が。
この水源に住んでいるのだろう。人形を怖がっているのかぷるぷると震えている。

歩み寄り、そろりと人形の背を撫でる。
反省したのか、人形はしょもーんと身を縮ませて動きを止めた。

よく見ると、その生き物は魚というには少し変わった見た目をしている。
かといって敵意のある魔物でもなさそうだ。

ネクターにとても興味を示している。もしかしてこの小魚も、エンブリオなのか…？





…





…





何故か水から飛び出し私の周りで踊っている小魚。

何故か私のあとをついてくる小魚。

何故か踊りに加わるネージュ。

近くの岩辺に腰を下ろし、暫く二匹のエンブリオの踊りを眺めていた。

…可愛い。

嬉しがっているようだ。