●●月△△日（晴れ）　当直：アリス・ペチュニア

暖かい平原を越えると、道に沿うように川が流れている。
舟を使って渡るという程でもないが、時折舗装されたものや、
手作りの橋が備えられている。
水場が近いというのは普段の生活でも何かと便利なもので、
人の往来もそれなりに多い。道すがら行商をしている者も
いれば近くの木陰で横になり疲れた体を癒している者もいる。
私達はというと、そんな思い思いに過ごす中を割と気ままに、
のんびりと歩いていた。

「・・・でね、サマルさんと契約する時すこぶる面倒だったんですよー。契約するならアレ持ってきなコレしてきなってもう我が儘ったらなくて」
「へぇえ、サマルさんわがままさんだったの？」
視線の先の当人は一度溜め息をつき、半ば呆れ顔で答えた。
「・・・そりゃアンタの服装や部屋がとことん汚かったからだろう？そこらに埃が積もってるわ、ゴミは散らかってたわ・・・掃除道具の１つも無かったんだからねぇ」
「えーそんな事無いですよ、あれは実用性と過ごしやすさを考えた上のことで！」
「出したら出しっぱなしなのは実用性も過ごしやすさもないよ」
「ぐぬぬー・・・」
実際、当時は自分でも流石にこれはどうにかした方がいいかなくらいには考えていた。付き合いの良かった近所の人たちでさえ部屋の話をすると露骨な話題切り替えがされる程だ。
・・・まぁ、考えはしていたんですよ。とにかく！

話を聞いていたウルクくんもぽつりと呟く。
「聞く限りじゃなんだかペチュニアの方が我が儘そうだな・・・」
「そ、そんなことないですよウルクくん！？私だって自室の１つや２つその気になれば片付けるくらい・・・！」
慌てて取り繕うとして、本音が出てたことに気づいて即座に口を抑えるが、世話焼きなエンブリオは聴き逃しなんてすることなくて。
「やっぱり片付いてないって気づいてたんじゃないか、全く私が言わなきゃいつまでゴミ屋敷だったことやら」
「えーと、あ、ほら何かこちらに向かってきますよ！こんな話してる場合じゃないですよ皆！はいはい！」




「・・・宿屋さんとかで同じ部屋になったら大丈夫かなー・・・」
ナフコちゃん大丈夫だから！おねーさん他人の家では綺麗に過ごす派だから！