1571日目。

兵士について。

昨日全身真っ黒な鎧に身を包んだ兵士に遭遇した。

実力はこれまでに遭遇した魔物や野生のエンブリオ以上、参加者未満といったところか。

…これまで、といっても今までに遭遇したそれらは数少ないが、少なくとも上位の存在であると推測する。

とはいえ兵士としては恐らく低級な部類だろう。

あの程度の実力が主力となると今まで城が陥落しなかったほうがおかしい。

しかし確認もナシに襲い掛かってきたところを見るとこちらの顔が割れているのか。

はたまた無差別に人々を襲っているのか。

…後者だとするとその辺りの山賊となんら変わらないな。

倒れる際に"ブランチマン"と言っていたが王の名前だろうか。



そういえば昨日言っていた通り、試しに『デビル』との契約を交わしてみることにした。

字面どおり悪魔なのだとしたら何を要求されるやら。

今のところ『デビル』はおろか『ノーム』とすら対話はしたことがないが、これらは意思を持つのだろうか。

ヒトによっては既にコミュニケーションを取っている個体も居るようだ。

一方、自らの所有する個体はというと、魔力の塊、という印象でしかない。

現状は鉱物に宿すような形で所有しているが、これらがヒトガタ、またはそれに替わる形で顕現することは果たしてあるのだろうか。

騒がしくなるのは好ましい進展ではないが、以降も観察していくこととする。




———験体番号六番ノ手記、第四頁。

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ナナシは言いながらスィ…と中空に飛翔する。

手の平を上に向け、六の前にすっと差し出す。その手には何も握られていない。

気付かれてちょっと狼狽しているようだ。