砂地にてデザートウルフとハニワの群れに襲われたシュガーたちであったが、

元・冒険者による迅速な先制攻撃と、
博識多学な黒猫の的確な采配と、
普通の庭師による強烈な打撃、

そして、

怨霊達を従えたシュガーの地味なサポートにより、

難なく戦闘に勝利することができた。

その後、黒猫に先導された一行は砂地を抜け、一路水辺へと足を進めたのであった。水辺には水量豊富な川が流れており、砂地から一転して涼しげな風が吹き、多くの参戦者たちが煮炊きに水浴びにと休憩をしていた。

シュガーも荷を解いて一息つく。水音を聞いてうとうとしかけたシュガーの耳に幻聴じみた女の子の声が聞こえてきた。遠くから聞こえてくるものの明るく軽やかな声であった。冥府の彼方よりの声であった。

冥府の彼方から声が届く。初夏の日差しもかくやと思える明るく軽やかな声であった。

ため息をつきながらシュガーは思う。怨霊の眼を通じてシュガーの冒険は冥府に伝わっている。これではまるで見せ物だよ、と。同時に思う。それは怨霊拳の継承者の宿命であり、そして、怨霊達に見られているがゆえに、己の立ち居振る舞いを正すことができる。悪い事ばかりでもない。

シュガーは彼方で己を見守る声の主にそっと微笑みかける。端から見たら急にニヘラと笑う変なにーちゃんである。指とかさすのはやめたげてほしい。

ハチェットのカバーを外す。硝子の青い目が揺れた。

シュガーは怨霊と会話をしているようです…

シュガーは怨霊と会話をしているのです。気にしないでください。

ハチェットのカバーを外す。硝子の青い目が揺れた。