「どういうことだねスラント君！？」
悲痛な声が響き渡る。答える声もまた悲痛な響きである。
「僕に言われても知りませんよっ！それより教授前、前っ！ちゃんと牽制してください！」
正面にはつがいのキラーインコがいた。現状では一羽であっても危険と思われる厄介な生物である。

ピクシーを探しに森に入った一行だったが、妖精の悪戯にでも惑わされたか
時空が歪むような不思議な感覚に道を失い、一度は見つけたはずの妖精は影も形もなく
逆に自らが狩られる立場となりつつあった。

「いや、知らないってスラント君もかなり森林推しだったよね」
「あたし知らないわよー。責任とって……ええと、ちょっと照れながら肩組んでる写真取らせてもらえないかしら！？」
どさくさまぎれに何かひどい要求をされているがスラント君と鳴丸君が困るだけなので放置する。
今はそんなことよりも———

「ええい！妖精さんはどこに行った！
　本物の妖精さんにオナホ妖精というジャンルについての感想を聞きたいのだ！」
「そんな理由だったんですか！？」
ああ、またいたいけな青少年がドン引きしている。そう実感することで教授は少しだけ心が落ち着いた。

先程からこちらを威嚇しているインコがついに間合いを詰め始めた。
もとよりさして意欲のあるわけでなし、一度や二度の敗北でどうこう、ということもないのだが
「どうせならもっと色気のあるモンスターに押し倒されたかったのう。敗北童貞奪われるのは。」

教授の発言で味方の士気はだだ下がりだった。

　　　

　　　　羽織ったローブのフードを深く被り、大鎌を手にし対峙する。
　　　　　　うっすら、彼女の周りを薄い霧が漂っている様に見える。