──このアリスって子に呼ばれてからと言うもの、毎日がこんな感じだった。
さて、色々な事があって忙しかったけど、今日はほっと一息を付けた。
今のうちに今日まで起きた事をまとめておこうかなと思う。これから先の戦いに向かう覚悟を決める為にも。
そして無事に帰って姉さんに報告する時の為にも……

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　　1日目

ボクは肩で息をしながら、さっきまでの事を思い浮かべていた。
何もわからぬまま、突然大男に戦いを挑まれ、そして小さい女の子に助けられて、今無事に戦いが終わった……みたいだ。

女の子──アリスはボクをほっといて先ほどまで戦ってた大男達と何かを話して、何かを受け取っていた。
ボクは息が整ってくると、少しづつ頭が働いて来て……さっきの戦いを思い出す。
何がなんだかわからぬまま、渡された杖を振り回し、アリスの言うとおりに動いて……そして大男にタックルで弾き飛ばされたり殴られたり……思い出して来たらなんか痛みが……か、体中が痛いぞ！？

僕が体中の痛みに気付いて座り込むと、いつのまにか目の前にいたアリスが絆創膏を貼ってくれた。

周りを見て、今度こそ邪魔が入らなそうとふんで、改めてアリスに問いかける。
アリスは手当の手を休めず、少しだけ真面目そうな顔をすると「どこから話すかのう」とか呟きながらも、ゆっくりと説明を初めた。

そこまで答えてから、ボクはやっとアリスの言ってるおかしい事に気付く。

この世界の住人じゃない！？人ですらない！？
少し恥ずかしそうに答えるアリスに、ボクは何を言ってるかわからないって顔を向ける。アリスはやれやれ。と言いたそうな顔をしながらも説明を続ける

一つ問題が解決した。なるほど、さっき突然戦ったのはそう言う理由か……ボクが戦わないといけない理由にはならないけど。ボクは黙って続きを聞く。

──なんか突然話が吹っ飛んだ。薪オーブン？確か調理器具の一種だっけ……？精霊？実態が無い？？目の前にいるのに？？疑問ばかりが浮かんでくる。そんなボクの反応をどう思ったのか、少し顔を赤らめて答えるアリス

なるほど。そう言えばエンブリオと契約どうこうって戦う前に言われてた気がするな。そうか、エンブリオってのは精霊や付喪神みたいな存在の事なのか。なるほど、なるほど……

……く、アリス繋がりか！うぅ、姉さんがボクをアリスなんて呼ぶからこんな事に……
姉さんに対する恨みを頭の片隅で呟きつつ、ボクはアリスに問いかける。

そこで少し口を濁らせるアリス。ボクは目で先を促す。
少しの間を置いて口を開くアリス

は？

……つまり？

力いっぱい叫ぶ。アリスが「やはり理解が早いのぉ」とか「まぁ、わらわも〜」とか話してるがそんな事はもう耳に入ってこなかった。

要約すると、ボクは横暴な王を倒さないと元の生活に戻れないらしい。実にシンプル。
そして実に理不尽だった。

力無く座り込む僕を剥げます様に肩をたたくアリス。

──結局諦めが先に来て、手伝う事を拒否するタイミングを逃してしまった。
まぁ、断る余地も無かったみたいだけど……こんなトラブルに巻き込まれるのには慣れっこになっちゃってる自分が少し悲しい。

わらわはアイリッシュ・マキ・オーブン。かまどの霊じゃ。よろしく頼むぞ

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──結局握手じゃなくて、ボクの叫びで終わってしまったが、初日はこんな感じだった。
まだまだたくさん書きたい事は有るけど、もう時間だ。明日に備えて寝ないと……続きはまた今度改めて書こう。

ボクは無事に帰る事が出来るのかな……

　　　　　　　優しく撫でて貰って大喜び。真剣な顔をして匂いを嗅ぎながら頭を擦り付ける。
　　　　　　　尻尾が大きく振られている。