火種の受け鉢から、跡形もなく燃え尽きた灰をかき捨てる。
すすで黒ずんだ鉢を小川にさらしてぬぐってやると、きらりと喜びを見せてくれた。
まるで灰かぶりの娘に魔法をかけたような気持ちになって、つい頬がゆるんでしまう。
魔女のおばあさんになるにはまだ早いんだけれど。

灰燼の最寄にて、しばしたたずみ思いを馳せる。

最近は体調も落ち着いてきて、ずいぶん健やかな気分が続いている。
思えば千里さんやティセア、せつな達にもずいぶん世話をかけてしまったように感じる。

大所帯なのに男手が足りないものだから、ヒメネスも……
ヒメネスも……何をやっていたっけ。私に赤い花のお茶を飲ませてくれたし……他には……

そうだった。ヒメネス、自分のお仕事に一生懸命だから。いつも周りが見えていなくて、一直線で。
だから私たちが彼の全力を応援してあげなくちゃいけないんだ。


—— ゲエッ！ゲエーッ！ ——

　　　　　—— ニイイイイィィィッ！ ——

……鬱蒼と茂る雑木の間から漏れ出る鳴き声が、いやに不吉だ。
ヒメネスの……みんなのところへ戻ろう。

ふあああぁぁ〜
クッソ眠いよネー

こういう森とかさ。トイレするスポットとかタイミング？ 逆に迷ったりしない？
とか、考えてるだけで一日がつぶれちゃうわけヨ。
べっつに今日やらなきゃイケナイことも、ホラ、ないわけジャナイ？
大勢いるから、わざわざボクがやる家事とかさあ、ふぁああぁ……。

ああー。暇って、たのし。 ネっ。