こんにちは、ルビーです。
先日の兵士さんとの戦闘では大変な目にあいました。
兵士さんはそういうトコロで最後の抵抗をしなくていいとおもいます・・・。







わぅ・・・。 私は犬ですけど・・・・その、一応おんなのこですから・・・。
こういうのはやめていただけると・・・その・・・・わぅ。





ご主人様はまだみつかりません。
がんばって先へ先へと進もうとしますが、やっぱり敵さんがつよくてどうしようもないです。
・・・ほんとうは、この先にご主人様が居るかも、って思うと、今すぐにでも走って行きたい気持ちです。

どうしようもありません。

私は、力だけなら、だいたいどんな人にも負けないつもりです。
私の鼻は、どんなに小さな匂いでも、かならず嗅ぎ分けられます。
私の耳は、はるか遠くで唄うご主人様の詩も、聴き逃したりはしません。

でも、
私がどれほどの敵を倒しても。
私がどれだけ風の匂いを探しても。
私がどれほど遠くの音まで耳を澄ませても。


ご主人様の存在の片鱗すら見つけることができません。


やっぱり、ご主人様はこの世界にはいないのでしょうか・・・？

私は、そもそもこの"いくつもの世界"が、一体どこまで広がっているのか、想像もつきません。
このメルンテーゼのような"世界"が、一体いくつあるのか、私には分かりません。

いくつもの世界の中、更にいくつもの街、そこに住む本当に沢山の人達。

その中からご主人様を探し出すことが、私に出来るのでしょうか？



この呆れるほどひろい世界の中で、私がご主人様と再び巡り合える確率は、いったいいかほどの物でしょうか？



そう考えると、途端に心細くなってきます。

・・・二度とご主人様に会えない・・・

そう考えるだけで、胸がきゅーっと締め付けられるようで、涙がこぼれそうになります。
沢山沢山の人達がいるこの世界の中で、私だけ一人ぼっちになってしまったような・・・
私がここに居る意味も、理由も、なにもかも無くしてしまったような・・・

そんな冷たい・・・とても冷たい気持ちになります。


でも、それは・・・その気持ちを受け入れてしまうことは・・・・
・・・・私が"諦めてしまう"と言うことに他なりません。
私の残りの命のぜんぶ、その冷たい冷たい気持ちを抱えて、生きていかなくてはいけません。
・・・いえ、きっと、生きていくことさえ叶わないかもしれません。

こんなに冷たい気持ちを抱えたまま生きていくなんて・・・。
私にはきっと、耐えられません。

もしも私が"諦めてしまった"そのときは・・・・きっと、生きることも"諦めて"しまうことでしょう。





・・・・私は、そんなことを認めません。



あと何年掛かっても構いません。
"私の残りの命のぜんぶ"、捧げてしまっても構いません。
私の命が尽きるその時に、ご主人様にひと目逢えるのなら、私は、それで本望です。

ご主人様の居ない世界に、価値なんてありません。
ご主人様の居ない人生に、意味なんてありません。

この私の小さな命でも、赤く燃え上がる炎のように煌めくことが出来れば、ご主人様が私を見つけてくれるかもしれません。


この命は、あの日あの時、ご主人様に救われてから、ずっとずっとご主人様のモノです。
・・・・私は、私の命の全部を使ってでも、ご主人様を探し続けます。

人が見たら"奇跡を願うようなものだ"と笑うかもしれません。
でも私は、きっとその"奇跡"に手が届くことを、信じています。



私の命の全てを代償にして、その"奇跡"に手が届くことを、信じています。





・・・例えそれが、砂浜の砂の中からたった一粒の砂金を見つけるような、遠い遠い"奇跡"であったとしても。