朝の運動がてら邪魔者も排除したので、三人で朝食をとる。
特に味に感動を覚えたりはしなかった。

朝食を終え、再び山頂を目指して歩き出す。
ほどなくして見晴らしのいい山頂に到着した。
とりあえず下界を見下ろして、探す素振りをしてみせる。

案の定、何も見つからない。まぁ知ってたわ。
ソウハは一生懸命遠くを見つめて探してくれてるようだった。
ナナは相変わらずアラヤのことを警戒してるみたいで、アラヤとソウハを交互に見ている。

しょうがないので機をうかがって、こっそりと人目につかない場所に移動する。
別にこそこそする必要はないのだけど・・・。
誰も見ていないのを確認すると、天を見上げ手を掲げる。

術式【天道】は天からすべてを見通す術式。
猫の子一匹逃さない。

掲げた手で上空に不可視の方陣を描く。
そのまま力を加え、徐々に大きく展開していく・・・はずだったのだけど、山の麓まで到達した辺りで霧散してしまった。
何度か繰り返したけど結果は変わらなかった。
どうやらこれが今の限界みたい。
もちろんお姉ちゃんは見つからなかった。
それなりに消耗してしまったので、二人のところにもどることにした。

*----*----*

合流した後、とりあえず休憩と水分補給を兼ねて付近を流れる川に移動することになった。
川辺でこれからについて話し合う。
どうやら食料が残り少ないようす。
一度山を下りて食料を補充した後、別の場所を探すことに。

山を下りながら考える。
見返りがないどころか、ただ危険な目に合うだけなのに。
探索も一段落したのだから、別れても誰も何も言わないはずなのに。
前を楽しそうに行くソウハを見る。
続いてアラヤから少し離れたところを、難しい顔をして歩くナナを見る。
もしかしたら彼女たちは『優しい』のかもしれない。
あいつらと違って、本当の意味で。

心の中で自嘲する。
この二人の心がどうであれ、利用できるなら利用する。
そこには何も入り込む余地などないはずよ。

*----*----*----*

ふと物音で現実に返る。
アラヤたちの前に現れたそれらからは、たしかな敵意。

自然と出てしまった舌打ちに自分で驚く。
考え事を邪魔されたのが癪に障ったのか、それとも考え事の内容自体が・・・。
まぁそんなことはどうでもいい。
こいつらがアラヤのことを苛立たせたのは確かだ。

>>ナナさん

>>アラヤちゃん