自分の未熟さ故にずいぶんと時間がかかってしまったが、
ようやく登頂できた。
ソウハが何やら魔術を使って周囲を見渡すらしい。
私はできることもないので、
周囲を警戒してくる、とだけ言って二人から少し距離を取ることにした。

周囲に気を配りながら、ソウハとアラヤのことを考える。
こうして二人が三人になってわかったことは、
ソウハは誰にでも優しいということだ。
アラヤにしても、その目が見ているのは私達ではなく姉だ。
ここには三人も人がいるというのに、
私は独りなのではないか。
これまで独りであることに何かを感じたことはなかった。
しかし、他者の存在を認識してから、
私は孤独というものをより強く認識しはじめていた。

山頂の片隅で、ほんの少しの間だけ目をつぶり——胸をおさえた。


しばらく周囲の様子を伺っていると、
アラヤがなにやらこそこそと離れていくのが見える。
居なくなる分には構わないが、こちらに攻撃を加えるための準備をしている可能性もある。
念のためアラヤの様子を視界の端ににとどめておこうとする。
が、どうやらアラヤはアラヤで姉を探すために何かをするようだ。
ならば自分がどうこう言うことではない。
ナナは再び答えの出ない思索に耽った。



しばらくそうして山頂からの捜索を行ったが
結局アラヤの姉はみつからなかったようだ。
登山に時間をかけすぎたせいで
食料もずいぶん減っていた。
特に水に関しては底をつきかけている事もあり、
補給のため川へと向かうことになった。

川岸にて水を汲みながらの話し合いで、
捜索場所の変更に食料補給も兼ねて川を下ることになった。
ソウハはスキップしながら川を降っていて実に楽しそうだ。
一方私は——
と、そこで魔物が現れた。
下らない事を考えるのはあとにしよう。
今はソウハを守らなければ。

>>ナナさん

>>アラヤちゃん