妙にテンションの高いアメーバを伸して、妙に湿気た空気が不愉快だった。
剣についた粘質を払い落とすと、そよりと風が動いた。まるで自分の周りを巡るような、不思議な動きをする風だった。その風に乗って、小さな小鳥が肩にとまる。
精霊の気配。
風ということはシルフかと問いかければ、応えるように囀る。
もしやと思って契約するのかと問えば、また、同じような囀り。
まぁ、この湿気た空気を払ってくれたのだから、契約しても良いかと。そうしてエンブリオが増えた。
シルフは肩から飛び立って、囀りながら近くの草むらへ行き、まるで呼ぶように短く鳴く。なにかあるのかと近づけば、自分が作る野戦料理にもよく使う食用の野草が生えていた。お近づきの証、と捉えていいのだろう。
ありがたく採取していると、生き物の足音がした。
……今これを書いている横で腕を振るって料理をしてくれている、目隠しをした長寿種。ルアンという名だそうだ。
彼女…婆さんだとは言っていたが、流石は長寿種か、そうは見えない。頭の角は触れてはならないらしい。事故が起こらないように気を付けよう。しばらく行動を共にする。