【三千世界の烏をつれて2】

昔、人の中に交じった妖がいた。
それは元々人でいて、いつだったか妖へと転じてしまった存在
知られてしまえばバケモノと罵られ、殺されかけるような、そんな生活を。
彼女はそれを1300年ほど続けた。


……気が遠くなるような長い時間を独り、たった独りで
死ねない躰を引きずって、人であった自分を知る者が一人として居なくなっても
彼女は生き続けた。


そしていつからか、彼女にはこの世の歪が視えるようになった。
彼女はそれを直すためにただ歩き続けた。それが自分に与えられた何か特別なものなのだと
自分だけが出来る使命なのだと。そう思い良かれと思って、ソレを続けた。









【気怠げな導き手2】

理由というものはあったのかもしれないが二人には特に興味はなかった。
故に、深くは聞かないことにした。

帰ったら聞かせてもらえばいいのだそう言うものは。
言われないなら言われるまで聞かない、それがこの双子である
面倒くさがりはきっと遺伝しているのだろう。







【雪華の日記1】

お父さん達には色々と思惑があったようだが、それが分からない双子でも無かった。
今暇なのだから別段それに乗ってあげても、なんて軽い気持ち

聞かされたのは別の世界に行くこと、そこで色々と成長して帰ってくること。
目的はそれだけの様でとある実験サンプルを取ってこいだのではなく
要するに物見遊山らしい。

先見の明と言っていいものか、父には何か見えているようで色々と手渡されたのだけれど
何に役立つのか。なんてものもちらほら、まぁきっと何かに使うんでしょう。何かに

綺麗な珠の付いたブレスレットとか、銀弥用の鋼糸とか。
その他諸々まとめて収納空間へぽいっとしてしまったけれど、お父さんの創ったこの収納空間てなものは中々にハイスペックでいわゆるひとつの収納上手というものなのだろう。たぶん
他では見たことがないし友達もみんな知らない。なんて言われてちょっとした優越感に浸るのでした

さて、そんなこんなで適当に声をかけて人を集めたわけだけど
やっていけるといいなぁ……私そこまでコミュ力高くないしなぁ
まぁなるようになれってなやつだ！がんばろー私！