「一揆生活　×日目」

　この世界での初の練習試合は——1勝1敗だった。最初は上手く相手を潰すことができたが、二度目は相手の強化がうまく重なり壊滅してしまった。まぁ、得るものも多かった試合だ。勝利より敗北からの方が学ぶことは多い。世界をまたぐ旅に出てから嫌というほど味わっている。今回求めるべきは圧倒的なパワーとすることに決めた。よって、それに伴うエンブリオとの契約をしたい所だなぁ。情報によれば、平原に出る「キラーウルフ」とやらと契約すると力が湧き出やすくなると聞いた。楽しみだ。
……そういえば、気がついたら不思議なエンブリオと契約がすんでいたな。紅月も気がついて居なかったようだし、さてはて。何かまた面白い前兆かねェ、くくく。

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　マーメイドと魚のようなモンスターとの戦闘が終わったときのこと。レーネはマーメイドと契約をしている中、東は一人、PTから離れて佇んでいた。
　どうにも悩んでいるように見える、それは戦闘中に起きた不思議な事についてだろう。東からオーラが出たと思ったら相手に光と焔をぶつけていた、その現象のことを紅月も一緒になって東の後ろで首をひねっている。

　
　やっと見つけた、と軽く呟き東は東は体内を見つめ直すために少し目を瞑った。精神統一するようにしんっと静まる紅月と東の間の空間。しばらくすると東の体が明るく発光し始めた。くくく、と軽く笑う東に、驚き転ぶ紅月が対照的でまるで親と子のようにも見えた。光が収まりはじめると、東の手のひらの上に光の珠がぽつりと存在した。

鈍ったかねぇ、いや。レーネの嬢ちゃんの気配に隠れてやがったか。

　くつくつと笑い続ける東に、不思議そうな顔をする紅月。光の玉は東の上で軽く飛び跳ね動き回る。微動だにせず東は手を広げ続けるとやがて光の玉がひときわ輝き始める。
　発光が終わり、紅月が目を開けるとそこには金のような輝く髪に白っぽく光り輝く小さな少女が、そこにいた。

　金色に輝く少女は無表情に佇み、無言で東の質問に答える。しゃべる意志は見受けられず、虚ろな視線を東に向け続ける。何か思うことがあったのか紅月が東とその少女の間に入る。むっとした様子で少女を睨む紅月だが、少女はそれに対して全く意に介せず東を見続ける。間に入り込む紅月、それでも見つめ続ける少女。異様な空間がそこには存在した。両者は一歩にひかず、このまま勝負は無制限耐久勝負になるかと思われたその時。
　

　東がひとり、二人に介入するかのように呟く。紅月はそれでも納得しないようにむーむーと口を尖らせ東を見つめている。東はくすりと笑い紅月の頭を一つ撫でると、そのまま少女に向かって手を伸ばしながら続けていた。
　

　その伸ばした手に、きんいろのしょうじょはゆっくりと手を伸ばし———

腕章を渡された男は、あなたの一連の行動をじっと見た後、質問に返す。

そう言った直後、「風紀」と書かれた方の腕章に視線を落とす。

男は満足気に声を上げると「ふむ、君が拾ったからには、やはり君が持っておくのがいいだろう」と腕章をあなたに渡す。

そう言うとあなたに握手を求めてきた。

そうどこからか声が聞こえると、散らばっていた粉が少しずつ集まっていく。

粉が竜巻のようになって動き出し、あなたに少しずつ近づいていく。

そう名乗ったあと、彼女は東のことを不躾に見てくる。
頭の上からつま先まで…悪い表現をするなら、値踏みをするように、だろうか。


（……この女、俺よりよっぽど無礼なんじゃないだろうか？）


東がそう思っていると、彼女が口を開く。

一瞥でこちらの力量を掴んでくる──無礼だが、無能ではないようだ。