———王城近くの城下町にて

「はぁ・・・・・・それで、ノエミ。」
「・・・・・・。」
「あれほど言いましたよね、来てはいけませんと・・・。」
「・・・・・・。」

王城の近くの城下町に着き、馬車から降りてからまずノエミについて問いただした。
馬車の中で見つかっても尚、口を開かずいるノエミに対して少し苛立ちが混じっていた。

「私はですね、貴方の事を思って・・・！」
「マリア、そこまでにしておいてやれ。」

「ノエミも反省してるし、とりあえずは御社の使いを探すのが先決だろ。」

空気に耐えられなくなったリヴァランが口を開いた。
私はそんなリヴァランに対しても苛立ちからか、強く当たってしまった。

「・・・・・・リヴァラン、貴方もこの事知っていましたね？」
「・・・そうだな、見たかもしれないし、見てないかもしれない。」
「つまり黙認したと言う事ですね。」
「まぁ、そう言う事になるな。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」

沈黙が続く・・・。

「はぁ、わかりました・・・・・・。」

リヴァランは嘘は言っていない。
むしろ冷静になって考えると、私の方が大人げなかったかもしれない。

「・・・とりあえず、日が暮れる前に教団の方を探しましょう。」

私達は漸く、城下町へと足を運ぶことにした。



しばらく街を歩いていると住民にあまり活気がないことに気付いた。

「此処は・・・？」
「ああ、マリアは初めてだったか・・・。」

「前の王の時は、活気あふれる街並みだった。
　それこそここで祭りや市場なんかも盛んでな、よく神父も子供達を連れてここに来ていた。」

初耳だった・・・。
恐らく私が孤児院に来てからずっとこうなのだろう・・・。

「でも今は・・・新王に代わってからこの調子だ・・・。」

あまりにも酷い。
壁は朽ち果て、お店らしき家は戸が閉められている。
人の気配がまるでないような・・・。
本当に城下町なのだろうか、そんな気すら感じられる。

「その新王は今は・・・。」
「あの城で裕福に暮らしているだろうな。
　もちろん、城下町の事なんて何にも考えてないだろう・・・。」

「・・・・・・。」
「孤児院の周りの土地が痩せたり、井戸の水が減ったのもあいつのせいだ。」

新王・・・。
ここ最近、周りの魔力を感じられないのもそのせい・・・。


暫くそんな話をしつつ、地図を頼りに路地裏の方に行くと、白いフードをかぶった男がいた。
間違いない、教団の使いだ。

「・・・。」
「来たか・・・。」

合うや否や紙を渡された。

内容を読むと、この街を拠点に新王を監視し、場合によって止めよ・・・と。

「・・・つまり子供達は置いていくということになりますよね。」
「・・・そうなるな。」
「それはお断りします。」

「まだ幼い子供達を置いていくわけにはいきません。」
「・・・断ると？」

相手の空気が変わった。冷たいような・・・そんな感じ・・・。

「・・・・・・いいえ、そうは言っておりません。
　王様は監視します・・・ですが、条件があります。」
「・・・・・・なんだ。」
「孤児院から通う事、これだけです。」
「・・・・・・。」

「・・・まぁ、いいだろう。」

そう言って教団の者は去って行った。

「・・・・・・はぁ。」

怖かった。ただそれだけ・・・。
私は教団への恐怖や疑念、それだけが増すばかりだった。
本当に教団とは一体何なのか・・・そして何者なのか・・・。

「神父様・・・私はどうすればよいのでしょうか・・・。」





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「かっこいいシスターさん」

「シスター＋銃＝かっこいい」
「銃器使いシスターかっこいい！」
「銃使いシスターはロマン！応援してます」

「腰のラインが恰好いい！」

説教が少し落ち着いたタイミングを見計らって、切り出した。

へたに誤魔化そうとしても逆効果になりそうだと感じたので、正直なところを話す。

改めて興味深くシスターの格好をまじまじと見て頷く。
どうやら保母さんのようなものだと理解したらしい。

自身の生まれ育ちについてはあっけらかんと語り。
特に親がいないことについてはなんとも思っていないようだ。

息を切らせる美人シスター。上下する胸に火照る顔。

男は内心必死に劣情を抑えこむも、声が上ずるのを自覚する始末であった。

軽く褒めながら相手の息が整うのを待つ。当面は誠意を見せる必要があるのだから。

いかにも無念、といった風に首を振る。それから呼吸を数度。

言い終えるとにこやかに返事を待つ。頭の中では文字通り算盤を弾きながら。

更なる情報収集を目論むのであった。

少年は声を掛けられた方向へと振り向き、相手の姿を確認する。
別段何かをしようという素振りは見せず、淡々と質問に答え始めた。

その口振りからは「なぜ声を掛けてきたのか」という疑問が浮かんでいるようにも見えるかもしれない。

孤児院の主という立場上、この場に似つかわしくないのはどっちもどっちだ…とでも言いたげだ。

少年は女性の顔を見上げて問う。
その目は真剣そうだ。