Vanetta's Diary - Page.3

メルンテーゼでの一揆に参加して３日目。
同行者の二人ともそれなりにやっていけそうだし、原生生物に襲われたけどさしたる苦労もなく撃退できたし、
出だしは順調ってとこね。良い事。

……早速というか、まだまだというか、特にこれと言って何事も無いから書くことも無いのよね。
あ、そうそう。魔王パラダイス──あのルリアンナとかって女の子のせいですっかり魔王呼ばわりに──は、
ま、早々見つからないみたいね。まだこの一揆が始まって数日だし、仕方ないんでしょうけど。

……それにしても、どう考えても地形おかしいでしょ……なんで草原やら砂漠やら森林やらが併存してるのよ、あの城の近く……
しかも初日のあの丘から、とりあえず地形ひとつを踏破して探索を終えるには最低でも２週間近くかかるらしいって……
何、何なの、どれだけ過酷な世界なの？　全部エンブリオのせいなの？
ネクター奪ってエンブリオを支配するのって実は割と現実的にこの世界を発展させる方法じゃないの？

はっ、取り乱した……いや、まあ進むけどね、うん、観光がてら。
日数がかかるって事は、それだけ見て回る場所が多いって事でしょうし。多分。前向きに。
そんな急ぐ事もないし。どうやら二人もそこまで真面目に一揆の戦功を狙ってる訳でもなさそうだし。
特に一名は戦功どころか動きたくない働きたくない帰りたいとか言いまくってるような気がするけどきっと幻聴。
あんまり集団から取り残されてもそれはそれで面倒がありそうな気もするし、遅れない程度にマイペースでやってきましょ。

視界の端、貴女の方をちらちらと見やっている少女が一人。

視線か何かに気付いたのか、少女は我に返ったような素振りを見せて、おずおずと貴女の方へ近寄ってくる。

心底申し訳なさそうに、少女は深々と頭を下げる。

　足元を走る白鼠があなたの隣で立ち止まったかと思うと、驚いたように飛び上がった。

　ジャックは肩らしき部分を竦めた。

兵士が慌しく行き交う中、その場にそぐわない優しい音色が聞こえます。
周囲の兵士はまったく気にしていないようですが、貴女の耳には確かに聞こえました。

音のするほうへ視線を向ければ、随分と派手な衣装に身を包んだ男。
手にしたリュートを静かに奏で、のんびりと歌を歌っています。

偶然かもしれませんが、その瞳は貴女の方を見ていたかもしれません。

ヴァンエッタは　美味しくない草　を丹念に鑑定してみた。

…　…　…　…

ヴァンエッタは　美味しくない草　を地面に叩きつけた！　ぺちーん！