【参：平原を進んで１】

さて、２日目。
この世界のシステムも多少飲み込めてきた。
エンブリオという存在は、いわゆる私の世界の妖怪変化みたいなモノのようだ。
在り方が近しいから、姿かたちを少し"弄って"やれば簡単に妖怪に出来るというもの。
こいつらをいっぱい育てて持ち帰るだけでも、多少の戦力強化にはなりそうな気がする。
叔父上殿の求める水準に至るには、多少苦労はしそうだけど、手ぶらで帰る破目になるような事は避けられそうだった。
もちろん、それとは別でここに増援に来ている妖怪変化達に声をかけるのも忘れてはいけないけれど。

とはいえ、どんな妖怪達でも……異世界からここに応援に来ている者達は、大なり小なり力を失っている筈だ。
今すぐにその本当の力を見定めるのは、正直難しいと思うし……

「事を急いては仕損じる、ですね、親父殿。わかってますよ」

ひとまず、この一揆騒動にあらかたの目処をつけなくては。
その為にも、まずは目の前のこの人間達……多分、王国とやらの兵士、になるのか。

これらには、然るべき道を辿ってもらうとしよう。

頭の上にいるちいさい子供のようなものを刺しているのだろう、
上でもぞもぞと白いかたまりが動いている。