／　あとでこのページ下半分破っておくこと

三日目
とにかく、この世界は驚きの連発だったのだ。
喋る案山子（筆談だけど）、喋るスズメ、喋る魔王（見た目は人）、契約したエンブリオとやらは喋る楽器だった。私が思うに、これは全国平均をはるかに上回る発言能力保持者率だと思うので、なんか喋りすぎだと思う。
ただ喋る楽器についてはその可能性について多くの権威が認めているという発表が数年前の楽器学会であったという情報を上司が呟いていたのであんまり驚かなかった。

そもそも喋る楽器というものについてその存在を示唆したのは上司であり、確かな情報筋からによるものだといって夢想家だと批判した学者を片っ端から牢に叩き込んだ事件の話を聞いたときは流石にどうかと思った。彼女は革命前の主な宗教家たちが掲げていた件の大神話学説に真っ向から反論する一方で無神論者や機械化文明の発展に関する聴聞会においても名だたる碩学たちの主張その全てを否定したことでも有名な全方面破砕主義者であり、つまるところ革命後の権力形成にありがちな恐怖政治型権力集約体制を築き上げるための手段だったのだが、一方でその派手な言動と他の資本家や旧貴族たちを潰す一方で黒旗の公爵家をはじめとする複数の家の存続を認めるなどの妙な温情っぷりや宣伝により作られたイメージにより国民からの人気はそれなりで、国を挙げてのプロパガンダでも人気がそれなりなのはお察しだが、何はともあれ国民アンケートの結果今の国に満足しているの割合が9割を超えていた（残る1割は没落した旧貴族たちらしい）ので、憧れはするけれどもあんな人にはなりたくないなあ、と思うのでした。普通が一番だと思います。
でもお世話にはなっているので強いことは言えません。きっと皆そんな感じ。

Л от М
女神なる帝へ

練習試合が終わった、その後。
起き上がったメィレーは即座にパリルドを呼び止めた。

いきなり初対面に無理難題を言う。
…どうやら同じ魔法使いとして許せないもよう。