お父さん。お姉ちゃん。
書いたお手紙、ちゃんと届いた？ちゃんと読んでくれた？
ぼくの方からは分からないから、ちゃんと届いたって信じる事にするよ。
ほんとはお父さんとお姉ちゃんからも、お手紙送れたらいいんだけど。
うん。わがまま言っちゃ駄目だよね。不思議な人と会わなかったら、ぼくからもお手紙送れなかったもんね。

あ、パーティを組んでくれた人達の事、言うの忘れてた。ごめんなさい。
えっとね。ぼくのパーティはぼくとクイトを入れて、九人も居るんだよ。

ぼくはクイトと一緒に二人で戦ってるんだけど、五人一緒に戦ってる人達が居るんだ。
パーティ組んでくださいって言った時、皆似てるなって思ったんだけど、五人は兄弟なんだって。
兄弟だから似てるんだなって思った。五人も居ると楽しそうだね。
あ、二人だけでも楽しいよ？ぼく、お姉ちゃんの事大好きだもん！
それでね。五人はミコシって言うものを使って戦うんだ。
一人がミコシの上に乗って、他の四人がミコシを持って、どーん！ってぶつかるんだよ。
皆ぼくよりちっちゃいのに凄いなぁ。どーん！ってぶつかるんだよ？怖くないのかなぁ？

あ、そうそう。ぼくより大きい人も居たよ。それでね。驚かないでね？
絵本で見た竜にとっても似てるんだ！もしかしたらほんとに竜なのかも！
背中にはぼくとおんなじで羽があるんだけど、ちょっと変わってるんだ。なんだかとっても硬そうなの。
それでぼくよりもずっと速いの！凄いよね！ぼくより大きいのに。どうやったらそんなに速く走れるんだろう？
あ、でも、飛んでるところは見た事ないや。まだ会ったばかりだからかな？
もっと一緒に旅をしていったら、飛んでるところも見れるのかな？

最後は鳥さん。亜人さんかな？でも、ぼくが知ってる亜人さんより動物さん寄りなんだ。
その人は銃を使ってるんだ。もしかしたら猟師さんなのかもしれない。
それでね。お料理が得意みたい。
さっそく作ってくれたんだけどね。見た事もないお料理なんだ。
まだ食べてないんだけど、とってもいい匂いがするの！早く食べてみたいな！
あ、今度からぼくもお手伝いした方がいいかなぁ？ぼく、お野菜切ったりとかしか出来ないけど。

それとね。とっても大事なお話があるんだ。
ぼくが住めるところがあったんだ！一揆に参加していれば、誰でも住んでいいんだって！

クイトが言ってたんだ。戦う時に風邪でも引いていたら、大変だろうって。体調には十分気を付けないといけないって。
そうだよね。ぼく、あんまり戦った事ないし、ゼコゼコしてたら皆の邪魔になっちゃいそう。
だから、寝る時には雨をしのげる場所を探した方がいいって、アドバイスしてくれたの。

それでね。凄いんだよ？そこ、空を飛んでるおうちなんだ！飛んでたから見つける事が出来たんだよ。
タンポポ荘って言うところでね。人間さんじゃなくてもいいんだって。
人間さんとか、亜人さんとか、ぼくが見た事ない人達がたっくさん居るの！
喋る動物さんも居るんだよ！猫さんにスズメさん、ネズミさんに狐さん、兎さんとか！
それでね。兎さんは普通の兎さんとは違う人が多いんだ。なんでだろう？
他の動物さん達も、普通の人とは違う人が居るのかな？
会ってみたいな！会えるかな？会えたらまたお手紙に書くね！

タンポポ荘のお姉さんはいっつも元気いっぱいで、ずっとニコニコしてるの。
とっても楽しそうでね。ぼくもなんだか楽しくなってきて、ニコニコしてきちゃうんだ。
もう一人のお姉さんはあんまり喋らないんだけどね。皆のためにコーヒーを入れてくれるの。
ぼくも苦いの飲めたらなぁ。ちょっと飲んでみたいけど、残したら怒られちゃうもんね。

ぼく、皆と仲良く出来るかなぁ？やっぱり、ちゃんとお手伝いした方がいいよね？
でも、ぼくに何が出来るかなぁ？木を切ったり、枝を取って小さく切ったりするのは出来るけど。
それでもまだまだお父さんには敵わないし。
後は薬草採ったりとかかなぁ？でも、それもお姉ちゃんには勝てないし。
ぼく、何が出来るんだろう？なんか、なんにも得意じゃないね。
あ、ごめんなさい。変な事言っちゃった。

あ、そうだ。
こっちに来てからね。合成って言うやつを始めたんだ。
合成ってのはね。何かを二つ、えーい！ってごっつんこすると違うのが出来るんだよ！
不思議な人にもらった魔法のカバンと、お料理する前の食べ物を試しにごっつんこしてみたら、草が出来るって分かったんだ。
とっても不思議だよね？ぼくもやってみて、どうなってるんだろう？って思った。
考えてみたんだけど、全然分からないんだ。なんでだろうね？
他にもやってる人が居たら、お話してみようかな？もしかしたら、何か教えてくれるかも！

今日はここまで！
何かあったらまた後で書くね。
ぼくは元気だから、お父さんとお姉ちゃんも元気で居てね。
じゃあ、またね。

　ハディートの気弱な声色など気にもせず、明るく元気な声でポポロは答える。

　ハディートの巨体を見上げて、にかっと笑ってみせて、

　そう言うだけ言うと、今度は首を大きく傾げて呟く。