Day2

剛拳の何某との手合せを終わらせたアイーダはすでに手合せの終わった参加者たちに紛れながら、続々と列をなす参加者を眺めている。

「比較的早い巡目で手合せできたのは幸運じゃったの。これで他の参加者を見ることができるわい」

アイーダの目的として人探しと一揆をするにあたっての仲間探しがある。

人探しは言わずもがなだが、仲間探しをするにはわけがある。

アイーダが探している人物にアイーダの存在を気づかれたら逃げられる可能性がある。

そのため、できるだけ目立つのを避けるために複数人で行動したいというものだった。

幸いにして一揆の参加者は目立つ人物が多い。少々特異な技能を使ってもさほど目立たなさそうである。

ルリアンナの手配のせいかもしれないが、よくもここまで癖の強い人物を集めたものだ。

「無茶なことを言っておるが、あの娘は相当やりおるのぅ。剛拳のもじゃがな」

にこにこ笑っている赤毛の女と高速で手合せを済ませていく厳つい男を見ながらつぶやく。

「それはさておき・・・ここまで多いと仲間探しをしようにも目移りしてしまうのぅ」

悩むアイーダの精神に直接ティアエルが語り掛けてくる。

『ねえ、アイーダ。ボクは仲間を探すならお茶を一緒できる人が良いと思うんだ』

『ふむ、そうじゃのぅ？確かにお茶嫌いじゃと色々困るからのぅ』

アイーダの技能として、様々な即効性の影響を与えるハーブを作るというのがある。

それを淹れて飲ませるのだが、お茶嫌いでは話にならない。

もっとも、香りだけでも良いものや浴びることで影響を与えるものも作れはするのだが、できるだけ飲んでほしいというのが心情でもある。

『そこでどうだろう。お茶会を開いて人を呼んでみるのはどうだろ？流石にお茶会に参加していてお茶嫌いはいないだろうからね』

『ふーむぅ。それも良いかもしれぬな。もっとも、ここでは青空の下で開くことになってしまうがの』

『まぁまぁ、それも一興だと思わないかい？』

『ふふっ。確かにそうかもしれぬの』

『じゃあ、決まりだね。早くお茶にしようよボクもう待てないよ』

『駄目じゃ。まだ参加者全員を見ておらんじゃろ？』

『まぁまぁ、どうせ姿を変えられてるだろうし探しても仕方ないよー』

『それはまぁ、そうじゃが・・・』

『なら決まりだねっ！アイーダもそろそろ限界なんでしょ？ボク知ってるよ』

『な、何の事じゃ？』

『最近ひんにょ』

『くっ！そんなことは無いぞ！』

『まぁまぁ、我慢のしすぎは体に良くないよ』

『ふん、そこまで言うなら仕方ないの』

延々と精神同士で会話していたアイーダは手洗い場を探しに走って行った。