一揆を始め２日目。
　城へ向かうクロエたちの前に、５体の黒い影が立ちふさがった。
　ケット・シーと呼ばれる猫のようなけものと、マッスルポテトと呼ばれる筋肉隆々な生命体。
　どうやら、城の外で放し飼いにされている番犬のような存在らしい。
　クロエたちは初戦ということで緊張しつつも、ケット・シーたちに向かい戦いを挑んだ。

「これで終わりだっ！」
　クロエの力強い声とともに繰り出された拳の一撃で、最後のケット・シーが地に倒れた。
　思っていたよりも手応えがない。 最初はこんなものなのだろうか。

　クロエが戦闘態勢を解き身体をほぐしていると、妙な視線を向けられているのに気がついた。
　向けられる視線の元に目を向けると……

　さきほど戦ったケット・シーが起き上がって、仲間になりたそうにこちらを見つめている！

　そのケット・シーからは、先ほどまであった敵意は全く感じられない。
　元の愛くるしいつぶらな瞳で、なにかに期待するようにクロエを見つめ続けていた。

「こういう時は、たしか……」
「ネクターを使って、エンブリオとして契約すればいいんだっけ」
　クロエは学校で習ったエンブリオとの契約方法を思い出しながら、ケット・シーに向かいネクターを一輪差し出した。
　ケット・シーは嬉しそうにネクターを見て、己の肉球をクロエに差し出す。

　こうして、クロエとケット・シーのエンブリオ契約は成立した。
「こんな感じで、エンブリオを増やしながら戦力を整えていけばいいのかな」


「それにしても……この世界って、本当に色々な方がいるのね」
　クロエはまわりにたむろしている一揆への参加者たちを眺めつつ、そうつぶやいていた。
　普通の人間のほかにも、耳の尖った人から、けものと人のミックスのような獣人、小型の竜のようなけもの、どう見てもスズメのような鳥など、多種多様な存在が目白押しだ。
　人間と契約を交わすエンブリオには、多種多様の形態があることはクロエは知っていたが、エンブリオではないのに人語を解する人ではないものを、クロエはこれまで知らなかった。

「そういえば……人型ではない相手への関節技って」
「どうすればいいんだろ？」
　人間と同じ極め方じゃダメージ行かなそうなどと考えながら、クロエたちの旅はまだまだ続く……

見せた絵の特徴に驚く様子を見て少し声のトーンが落ちる。

少し、残念そうな口調だったが、すぐに気を取り直すと改めて忠告を行う。

手元から宝石箱を取り出し広げて見せる。
その中で目立つのは……水色の宝石と極光の宝石。
ただ少し、輝きが薄いようにも見える。
その2つはちょっと無理ですけどねー、とのことだ。

スズメはすこしだけ首をかしげながら、ちゅん　と鳴いた。

基本、名前は無いらしい。

食べ物につられて参加したようだ。

話しかけてきたのは、小柄な一人の少女。
「突然話しかけてしまってごめんなさい。」と小さく謝ってから、クロエの顔を見上げる。

そう言って少女はにっこりと笑う。
どうやらクロエの格闘技のことを言っているようだ。

少女は、君の髪のほうを見て、話題を思い付いたようだ。

ウィルトは　しんちょうに　あいてを　みている。