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『悪しき心を捨て、我らは常に正義の光であれ!!』




・・・・・・。

目を開ける、・・・光だ。
強くて熱くて真っ赤な光だ。
足元を見る、・・・人が倒れてる。
でも、『心』が動いてない、きっと死んでる。
周りにもいくつか人だったモノが光に照らされている。
部位の欠落したモノ、地面に縫い付けられたモノ、光の熱に焼かれているモノもある。

これが、光なのだろうか？
これが、あの人たちの言った正義というものなのだろうか？

「おっ、こんなとこに生き残りがいるじゃねぇか」
「しかも女か、火だるまになる前に見つけられて幸運だったな。今夜は楽しめそうだ・・・・・っ!?」

何かいる、目の前に二つ、人の形をした・・・悪意。
悪意、恐怖、負の感情・・・この辺りにたくさんある、集まってくる。

「な、何だよこいつ!?急に黒い霧みたいなもの纏いやがって!!」
「くそっ、悪霊の類か!!おとなしく・・・消えろ!!」

どすっ!!

・・・なんか、動きづらい。
お腹を見る、何か生えてる・・・金属の杭？
すごく熱い、早く抜かないとつらい。
手で杭を掴んで引き抜く、結構長いみたいでなかなか抜けない。

「剣で刺しても表情一つ変えねぇのかよ、バケモノがっ」

・・・やっと、抜けた・・・抜ける？
何かお腹から、力が抜ける。
お腹から黒い霧が・・・負の感情が出ている。
あぁ、そうか・・・穴が空いたから漏れ出してるんだ。
足りなくなったら、満たさないと。
今までだって、目を開ける前だってそうしてきたんだから・・・大丈夫。

ネガティブ・アブソーブ

集まった負の感情を吸い込む。
漏れ出した量を上回って、身体の中が満たされる。
目の前を見る、ガチガチと歯を鳴らして震える男が二人。
続いて手の中を見る、自分に手があることに初めて気付く。
さっき引き抜いた杭を握っている・・・返さないと。

歩く・・・歩ける。
踏み込む、構える、手を前に出す。
わずかな手応え、弾け飛ぶ男だった身体。
・・・力加減を間違えた。
至近距離で赤い液体を浴びる、全身黒と赤で凄い色だ。

「ひっ、あ、う、うわああああああああぁぁぁぁっ!!!!バケモノだ、バケモノだああぁぁっ!!」

そういえばもう一人いた。
でも走って逃げていった。
聞きそびれてしまった。
私は何？どうしてここにいるの？

思い返すは、遥か昔に聞いた言葉とついさっき聞いた言葉。

『悪しき心を捨て、我らは常に正義の光であれ!!』
『くそっ、悪霊の類か!!』

・・・悪しき心、悪霊。
そうか、それが私なのか。

もう一度周囲を見回す。
めらめらと揺らめく光、無数の人だったモノ、悪意を持って近付いてきた男。

じゃあやっぱり、これが正義？
だとしたら、自分が悪であることはとても素晴らしいことに思えた。
自然と笑みがこぼれる・・・ニタリと。

さぁ、悪を為すために悪意を奪いに行こう。
この近くにはまだまだ悪意が感じられる。

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目を開ける、・・・光だ。
強くて熱くて、優しい光だ。

太陽はすっかり昇りきっている。
なんだか昔の夢を見ていた気がするがハッキリしない。
夢とはそんなものだと一人納得し出発の準備をする。
今日も人々の幸せを探しに行かなければ。

さぁ、幸福を返すために悪意を奪いに行こう。
この世界にはまだまだ悪意が感じられる。