「…どこ、ここ」

———目の前に聳え立つ巨大な城。
広大な敷地に造られたそれはまるで要塞のようであり、
また、自然に溶け込むように造られているため、群峰のようにも見える。

…じゃなくて。ええと。
確か私はなんたらベルクで妹と宿を取ったところで…
明日になったら現地で雇用した執事と一緒になんたら協会に…あれえ？

どこ、ここ。
なんでこんなところにいるの、私。
宿の中じゃないとかそんなんじゃなくて、昨日まで居た世界と風景がまるで違う。
寝てる間に別の世界に飛ばされた？　…なんで？
…私一人だけ？　え、ちょっと、なんで。


軽く混乱していると、こちらに向かってくる誰かの姿が見えた。
ちょうどいい。とりあえずアイツからこの世界の事だけでも聞き出そう。
それから…それからはまあ、聞き終わってから考えよう。
はあ…面倒。


「ちょっと、そこのお前…」

「即刻立ち去るがいい！世界に害をなす虫けらめッ！！」

「…は？」