みちづれ、つれづれに。

新たな同行者であり、子供であり、女であり、動物である。
もう一匹、まあまあと鳴く動物もいる。動物である。
彼女らはフタアシヒツジに良く似ている。

フタアシヒツジではない。



ヒツジではない彼女にとって、ヒツジとは『もふもふ』ではないといけないもののようだった。

『もふもふ』とは、『柔らか』かつ、『潰しても形状記憶効果を発現する』ものを表す言葉である。
冷たいものに使用されることは少なく、『温もり』を表す場合もあるだろう。
『潰しても形状記憶効果を発現する』ことに関してはまったくの初耳ではあったものの、
残りの二つは私達の思い描くヒツジの特徴と一致しているため、
彼女と私達のヒツジ像に、大した違いは無い。


彼女は、紅色の花を持っていた。
彼女は、名も持っていた。

彼女は、底尽きぬ言葉を持っているだろうか。



『手記：Eglantine』

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と、エッグランティナの真似をするように一息に。
さながらされたいたずらをやり返した子供のようにしてやったりと笑っている。

ナナシは調子にのり真似を続けようとしたが、どうやら慣れないことをして噛んでしまったようだ。
涙目でベロを確認している。

40cmほどの大きさの人形がゆっくりと二足歩行で近づいてくる。

スカートの裾をつまみ一礼。

首を傾げた人形が急に宙へと持ち上げられる。
つまみ上げたのは、身長は170前後、青髪の耳長。