1570日目。

本日の成果。野生のエンブリオについて。

どうやら常に契約可能なエンブリオの他に野生のエンブリオというものが存在することがわかった。

野生のエンブリオは我々、一揆に参加するメンバーに比べかなり性能が劣るもののようで、容易に倒せてしまった。

これについては仲間の1人が組んだ『練習試合』での相手と比較した結果による推測でしかないが…。

あの肉達磨はどれだけ力を抜いていたのだろうか。試験官ともなれば実力はそれなりのはずだが？

…何にせよ力は付けておいて損はないだろう。聞けば人狩りと呼ばれる輩も出るようだし。


それともうひとつ。

野生のエンブリオは倒せば契約することが可能らしい。

どういう理論か分からないが、屈服させないと従えることはできない、ということだろうか。

今回は『ケット・シー』というエンブリオを倒したが、契約は見送ることとしよう。

猫は嫌いじゃないが従わせるには趣味じゃない。


前の世界で使っていた能力を鑑みると闇の属性が中々に馴染みそうだが…。

試しに『デビル』で契約してみるかな…？




———験体番号六番ノ手記、第三頁。

視線に気付かれたと知るや、青年？は何故か感嘆したような気配を向けた。
まさか気付かれるとは思っていなかった！という風情だが、あれだけ露骨に注視しておいて何をばかな、である。

そう言ってムイ（の角）をやけにきらきらした瞳で見つめてきた。

───そうして暫し。己を矯めつ眇めつ観察する視線にはっと我に返ると、やや悪びれたように背を屈めてムイに視線を合わせた。

逃げ出した少女を追いかけて、肩をつかまれて、フードに手をかけられると、少女は────

そのへんにおちてた棒切れでぺしぺし攻撃してきました。

ぺしぺしぺしぺし。

なにか、この少女の中で、おおきな勘違いがあったみたいです。
慌てて棒切れのぺしぺし攻撃を止めると、真っ赤になってぺこぺこ頭を下げていきました。

いきなり殴りかかったのを気にしているようで、少女はちゃんと目を合わせることができないようです。

妖精は少し警戒気味のようだが、エシャロットになだめられて大人しくしている。

どういうことなの。
警戒心どこいったの。