シフォン「そう言えばっ」

互いに面識の無いPrimaryとミドリの紹介が済み、草原を進んで大分経った頃。
シフォンがレアの武器を指差した。

シフォン「今回は前と大分感じが違うんですね、武器のっ」
レア「おお、これか？」

そういって掲げたのは、見た目にも重厚感が溢れる、鉱石でできたと思しき大剣。
それは、レアの身の丈に合わない、引きずって歩いてしまいそうなほどの業物である。

レア「此度の戦のために作り直したものだが。……如何だ？」

抜刀して一度、振り抜いて見せると、低い唸りを上げ業物が宙を斬る。

シフォン「前はフォトンよりの武器だったと思ったんですけど、変えたんですね？」
レア「うむ。あれはあれでよい物だが、やはり重みが足りぬのでな」

以前の場所でレアが振り回していたのは、エーテルを介した非物理の大剣であり、
今持つ武器とは、真逆に位置すると言って良いものだった。

マリー「確かに、今レアの持ってるのは重そうね」
レア「持ってみるか？」
マリー「腕を痛めそうだから、止めとく」

レアの誘いを固辞するマリーの選択は正しい。
何しろこの業物、怪力のレア専用と言うだけあって、凄まじく、重い。
それを恰も模造刀のように振り回すレアの臂力は、尋常ではないのだ。

ミドリ「でも、これだととおくの敵をたおすの、むずかしそうね」
レア「うむ。だが、心配は無用だぞミドリ」

そう言うや、レアはやや前屈姿勢となり、剣を逆手に片手で構える。

レア「これをこうしてだな……」
マリー「その時点でもう人間技じゃないけど」
レア「……こうするのだっ！」

そして一気に半月を描くように振りぬいた！

すると、剣の軌道から生まれた衝撃波が、弧を描きながら、レアの目前の岩盤に突き刺さった。

それを見て、どうだ、少し得意げな表情をするレア。

レア「とある場所で学んだ技なのだ！格好良いだろう！」

ともあれ、遠距離の相手にはこの技で対処するらしい。
レアがそういって武器をしまうと、Primaryが言った。

マリー「そうね。……ウィークバレットは無いのに（ぼそ）」
レア「……」
シフォン「……」
ミドリ「？」

固まるレアとシフォン。
そう言えば、此処での銃の威力は、おおよそ最初は……

レア「おお、次は対人戦だぞっ！気合を入れるぞシフォン！」
シフォン「わわわきゃっ、わかりましたっ」
ミドリ「…？？」
マリー「……はぁ……」

世の中は理不尽に出来ている。
そのことを（ミドリ以外が）痛感しながら、一行は先へ進むのだった。

（名残惜しむように一撫でしたあと手を引き）

唸っている女の子に気付いた