○月　ゴレム週　ノームDay

今私の前でお嬢様が新しいエンブリオ、ケット・シーとシュユに挟まれて幸せそうに笑っている。
シュユが死にかけてから、この王城に着くまでの旅の間、いつも何処か思い悩んでるようだったお嬢様が始めた見せた心からの笑顔……
これを見れて、やっと一揆に来てよかったと思えますね。
……これからの事を思うと胃が重くなりますが、なんとかやっていけそうではありますね。

現状の話を書いておきましょうか。
今現在私たちは広庭…王城の入場門とでも言うのでしょうか。その場所の制圧に来ています。
この一揆のまとめ役？のラルフとルリアンナの話ではここが一番広く、そして制圧が容易い場所でもあるとの事を聞き、まずは一番楽であろう場所へときましたが…予想以上に広く、そしてそれを上回る人の数がこの広庭へときたようですね。
……心配なのが、お嬢様の事がバレないか、です。
あまりお嬢様は乗り気では無いのか、それともバレることはないだろう、と思ってる節があるようで……
それでいて持ち前のおてんば気質で、時折私の目を盗んで出かけて行ってしまうのでこちらとしてはそのような事を辞めて頂きたいのですが……

話が逸れましたね。
広庭にてケット・シーの三匹の群れを撃退。と言ってもお嬢様の目が明らかに変わっていたので手加減をしつつですが……それでも相手になる相手ではなかったですけどね。
その際に頂いたネクターでケット・シーと契約しました。
お嬢様は大変お気に召したようで名前を考えているようですね……確かに愛嬌があるとは思いますが、エンブリオはエンブリオ。
基本的に私はエンブリオは配下に置くものと考えているものですからね……お嬢様はペット感覚のようですが。
あぁいえ、別にお嬢様を批判するわけでは無いのです。ただ感性の違いを純粋に書いただけでして……えぇ。

一日程様子を見て……いく場所を変えようか、お嬢様に提案をしてみるつもりです。
このまま人の群れの中を進んでもいいのですが……何時何処でお嬢様のことがバレてしまうかわからないですからね。
合う人全てが味方か敵かわからないですが、この城で会うエンブリオが全て敵ということはハッキリしていますからね。
木を隠すには森の中といいますが、それは森の中に敵が居ない時の話です。
森の中に木こりが潜んでいたら……他の木と一緒に切り倒される可能性はありますから、ね。

さて、野営地も見えて来ましたし…今晩は少し警戒しつつも寝ることにしましょう。
鉄人あれ、とは思っていますが……人を超えることは難しいですから。

休める時に休むことも誰かに仕える人間には必要なことなのですから。

　　　　　　　　〜従者は微笑みながら日記を書いている〜