「教授ー。ごはんできましたよー。きょーじゅー」
スラント君が気の抜けた声で呼んでいる。
せめてもう少しだけでも尊敬の念を滲ませてみせれば世渡りは楽だろうに、
と思わなくもないがもちろんそんなことを指摘してやるほど教授は人が良くなかった。

「おおスマンなスラント君。紳士の社交場が少々盛り上がっていたのでついね。」
「ただの匿名掲示板じゃないですか。今更僕相手に体裁取り繕ってどうするんです？」
「ちなみに今盛り上がっていたのはアメーバが女性を性的な意味で
「それじゃあ僕はもう行きますねー」
ごく平和的かつ平凡なやり取りである。
いかにも悲しげな顔で首を振って見せつつ立ち上がり、食卓に着くべく後を追った。


能弁な教授ではあるが、会話相手の反応がなければ楽しくない、という理由から、
基本的には相手が全く興味のない話を一人で続けるということは少ない。
勢い、食事中の会話内容は直近の出来事が多くなる。
現在の話題は期せずして協力体制を取ることとなったパーティのことである。

「戦力としては申し分ないみたいですね。というか正直僕達自身のほうが不安でしたけどっ」
いつもの様に軽い口調でスラント君が口火を切る。色々と失礼な発言ではあるが、困ったことに本心であろう。

「そういうセリフはもう少しまじめにやってから言いたまえよ。練習といっても手抜きはいかん」
事実である。先の交流を兼ねた練習試合では、エンブリオのスキルを用いて戦闘していたのは教授一人で、
残りの3人は単純な打撃か基本的な魔力の放出による攻撃しかしていなかった。
もちろん、契約しているエンブリオは皆一般的なそれであり、基礎の能力さえ示せばそれで最低限の実力は図れるのだが
訓練として考えるならばそれはたしかに手抜きといってよかった。

「教授がまともなことを言ってるっ！？」
しかし鳴丸君が本気で驚いた顔で話の腰を折った。
普段であれば必要がなくとも性的な方向に会話を進めているだけにその反応もむべなるかな、というものではあったのだが。

「試合に負けたせいで女の子をお持ち帰りできなかったって怒ってましたよね」
「そんなことかよぉぉぉ……！」
彼の希望は速やかに断ち切られた。
そして危惧したとおり、戦闘中の女性陣の発揮したエロスについての解説が長々と続くことになったのだが
何分当の女性陣のビジュアルイメージが示されていないため苦しい描写を諦めここでは割愛することにする。




※匿名掲示板の存在及びその内容についてENo.105 Silva U.A.Tiamatoさんの日記からネタを拝借しています

サニー少し話していた意味を考えていた。すると怒りがこみ上げてくる。

あとはプララに任せて、怒って行ってしまった

そう言うと教授は平然と兵士を無視して歩き出した