〜　日曜チキレ劇場　〜
【　けっこんしてよ！ギュス子さん　】

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☆登場人物紹介☆

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【　第３話　『客がいなけりゃ』　】




扉を開けたら、そこには別世界が広がっていました。

ここは、冥土喫茶 『有楽飯庵』（うらめしあん）。異次元の扉で何処からでも行ける憩いの妖怪メイド喫茶店です。
料理自慢のオーナーと、かわいい２人のメイドさんがいつでもお客様をお待ちしております。

さらっとトドメを刺しに行くのはやめましょうね、猫ちゃん。


さて、そんなこんなでメイド喫茶は今日も平和です。
平和すぎて閑古鳥が鳴いてしまっているほどに、とても平和でした。

そうなのです。うらめしあんが平和な理由。それは来店する客層に変化が生じてきた為なのでした。

具体的に言うと、扉を開けたとたんに逃げ出す、もしくは状況を理解できずに閉めてしまう、という方が多くなっていました。
もちろんメイド２人の不意打ちに近い『いらっしゃいませ〜☆』に面くらってしまうケースも多かったのですが、
それ以前に、この場所が”喫茶店である”と理解できずに逃げ出してしまう、という反応が目立って多くなりました。

ぐだぐだとぼやく２人のメイド妖怪に浴びせかけられたのは怒りの言葉。

振り返るとそこには、カウンター席に着席してすっかり待たされたという雰囲気の１人の青年でした。

・・・訂正します。すっかり待たされて怒り心頭の『イケメンの青年』でした。
イケメンっていいですね。怒っている姿もなんだか絵になります。

普段ならイケメンは喰いついて離さない勢いで取り乱してしまうギュス子さんですが、
割と落ち着いた反応を見せているのは知り合いだからです。

このイケメンさんの名前は、ハロルド・イズミ・ロイズ。通称はハルさん。

ふとしたことでメイド喫茶に迷い込み、テンチョーの料理に惚れ込んで以来、ずっと通いつめている常連客です。
ほぼ毎日、１日３食欠かさず食事にくるので、すっかりお店のメンバーにも慣れきってしまっています。

今日もスネークばりのさりげなさで来店し、雑談にかまける妖怪メイド２名を横目に自分で水まで用意してしまうほど。

あ、もちろん毎食お代は頂いているので本人の言うとおり彼は列記としたお客様であります。
慣れすぎてしまった態度で接しているメイド２人が問題なのであります。


それはさておき、出来立てのテンチョー特製のオムライスを楽しみながら、イケメンのハルさんはギュス子さんに話しかけました。

どうやら先日の『扉無理矢理開けちゃった☆事件』の影響で、メルンテーゼに繋がりやすい環境になっていたようです。
おそらく最近増えた喫茶店になじみのない客層、というのもここから迷い込んだ人だったということでしょう。

常連のお客様は頻度は少なくなったものの来店されているので、完全にリンクが切れてしまったわけではなさそうですが、
繋がる頻度に偏りが出てしまったことで、売上に影響がでたことはほぼ間違いない様子です。

そしてテンチョーさんの話では、このリンク偏りを直すには専門の技師さんでないと難しいとのこと。
しばらくはこのままの状態が続くということが判明しました。

これは困ったことになりました。
以前の様な客足が望めなくなってしまった以上、今まで通りの営業では経営に影響が出てしまいます。

数秒ほど沈黙が流れたあと、ギュス子さんは意を決して宣言しました。

メルンテーゼに良く繋がってしまうということなら、そこからお客様を増やせばいい。
単純なことですが、確かに理に適った方針であります。

方向性が決まれば行動は早いのがギュス子さん。店舗用のぼり旗をむんずと掴むと扉を開きました。
目の前に広がるのは、やはり騒乱の一揆世界、メルンテーゼ。

メイド喫茶景気回復政策、ギュスコミクスはその第一歩から波乱を予感させるものでありました。





つづく。


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コーヒーを飲んだりサラダを美味しくたべたりしました。