私は、赤があまり得意ではない。

強制でもされれば別だろうが、積極的に身に纏う気にはなれない。



赤。



産まれて初めて見た、色の名前。

産まれて初めて、怖いと思った色の名前。





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私は産まれて間もない頃、高熱を出したらしい。
赤ん坊が高熱を出す、それ自体はあまり珍しくは無いと聞く。
しかし、私の産まれた村はとても小さく
村医者は居たものの、十分な対処ができなかったそうだ。


ああ、この子もきっと死んでしまう・・・・


母さんはとても心配したと聞いたよ。
でも私は死ななかった。
この世で使命があったのか、もしくは天上に嫌われたのだろうか。
それとも、生きるための対価を支払ったためかも知れない。


私は光を、失っていた。

右腕を相手に向かって伸ばし、肩の鷲を腕へと誘導させると、目線に合わせるように少し屈んでみせる。

人差し指で喉のあたりを優しく撫でると、鷲はうっとりと目を細めた。

40cmほどの大きさの人形がとても軽い足音立てながら走ってくる。

スカートを持ち上げて一礼。
笑顔の後に、踊るようにしてくるりと背後へと回り込む。

遅れてやってきたのは、身長は170前後、青髪の耳長。

陽の傾きかける頃合、あなたが街の雑踏の中を歩いていると
不意に何者かがその手を強い力で引いた。

——次いで背筋が凍りつくような、冷たい視線が突き刺さる。

驚いたあなたが振り返ると、そこに立っていたのは黒っぽい出で立ちの痩身の男だった。

自分から手を掴んでおきながら、男はあなたの顔を見て驚いたようだ。
ぱっと手を離して身を引くと、一瞬眉根を寄せたが、
すぐににっこりと、困ったような申し訳ないような笑みをその顔に貼り付けた。

その様子は至極人の良い雰囲気で、先程感じた冷たさがまるで嘘のようだ。

にこにこ、という音が聞こえてきそうなほど朗らかな調子で、男は微笑む。
しかしその笑顔にはあまりにも隙がなく、どことなく白々しさも感じさせた。