〜ここには、この旅で出会った人たちについて記していく〜

—　№1005　トランシー=コラフ　—

正確にはトランシー=コラフのエンブリオである、にんじんと出会った。
いきなりエンブリオ契約を迫られる。
どうやら、俺はエンブリオから契約を求められやすい体質らしい。

テンション高めのにんじん。斑点がついてるがあの斑点はなんなのだろうか。
おそらく変人。いや、変エンブリオ。

試食させてくれるというので食べてみた。
生まれてこのかた初めて体感する味。
一揆に参加して、あっというまに食あたりで挫折するところだった。
メルンテーゼ危ない。


—　№1023のエンブリオ　—

つまり、俺のエンブリオなわけだが。
初日に出会ったはずなのに、いまさら紹介とはおかしな話だが。

俺を騙し、まんまと契約させることに成功した狡猾なエンブリオ。
しかし、無理やり契約させておいたわりには、

「こんな人と契約するはずじゃなかったのに…」

とかのたまっている。
許せん！

しかし、戦闘中はぶつぶついいながらもよく働いている。
たまに、『俺いる意味なくね？』と思うが気にしない。
気にしてない。

得意属性は闇。
彼女の言い分によると、契約したら魔術がつかえるようになるはずだった。
実際は使えなかった。

これには契約した彼女自身も驚いていたようだが。

戦闘中のスキルは彼女が担当している。
俺は通常攻撃で殴る。


今回であった人物は以上。
以下に日記を記す。


—○月×日—

ネコとポテトに襲われる。
が、軽トラではじきとばした。

俺は無免許。
予測できた事態ではあった。

しかし、俺の超高度な運転テク(回避)によって大事には至らなかったようだ。
安全を確かめに下車すると、ふたたび襲われた。そりゃそうだ。

何事も無くぼこぼこにして終了。
マッスルポテトは思った以上に厄介な奴だったので食材枠からはずした。




—同日—




再びタイガーに乗り込み爆走。
相変わらず仕事は来ない。

タイガーと話してる中で、大剣についての話題がでた。
しかしこの大剣、刃が丸まり過ぎてて到底剣ろ呼べる代物ではない。
一枚の鉄の板で殴っているような状態である。

こいつは『ボロン鉄』と呼ばれる材料でできている。
希少価値が高いというわけでもなく、むしろやたら手に入る鋼材だがひとつ特殊な特徴がある。


なんと、魔力を全く通さない。


そのため、最初は魔術対策の装備の材料に使えるのではないかと期待がもたれた。
が、魔力を受けつかないため魔術加工ができないという残念な結果に。
強度の低い『ボロン鉄』は魔術で強度をあげることもできず、全然使われない材料となった。


まあ、俺は魔術もなんにも関係ないので使わせてもらっている。
魔術とは別の方法でちょっと強度をあげながら。


魔術を使えない人間が魔術対策に取った苦肉の策だ。
魔術から身を護るのには役に立つ。


魔術を使える人間から見たら滑稽に見えるかもしれないが、わりとこちらは真面目である。
まあ、俺もなかなか生きるのに必死だということで勘弁して欲しい。


そういえば、何でもない屋についても話が出た。
どんな仕事なのかと尋ねられたが。

依頼がまったくきてないので俺自身も良くわかっていない。
元が護り手なので、一揆参加者の手助けとかする予定ではいたのだが。


なので、基本は道行く人の護衛を基本スタイルに。
困っている人がいたら助けていく感じでいこう。


具体的な方針は何一つ定まっちゃいないが、『何でもない屋』だからいいのではないだろうか。




—○月△日—




小川に到着した。
運転初心者に、この小川を運転しろとは神様も酷な試練を与えてくれる。


まあ良い。


用は何事もチャレンジである。
俺はアクセルをベタ踏みした。

辺りをキョロキョロと見渡して、
不思議そうに軽トラックを見た後に首をかしげる。