エネリの手記１

ここはメルンテーゼ最果ての地、一筋の光が音もなく落ちた。

えねり「ふぅ、なんとか無事転移完了・・・ってわけでもないか。」

ごつごつした地面から起き上がろうとするがうまい事力が入らない。

えねり「あーやっばマナ使い過ぎたわ」

起き上がることをやめて周囲を観察する。
岩で形成された小さな空間、天井から僅かに入ってくる月明かり。

えねり「小さい洞穴といったところか。とりあえず周囲に危険な生物はいないようね。」

世界転移をするのには上級の召喚術師でも膨大なマナを消費するのだが、前の世界にいる時間が短すぎたため転移に必要なマナを十分にためる事ができなかった。
ただ霊体の私は周囲のマナを持続的に取り込む事ができるので通常は少し休めば動けるぐらいにはなる。

えねり「薄い」

一つミスを犯したとすればこの世界の空間はマナがとても薄いという事。

えねり「これじゃいつまともに動けるようになるか見当もつかないわね。となるとやるべきことは一つ。」

かすかに動く右手で地面に小さな陣を描く。

えねり「今あるマナじゃたいしたものは呼べないでしょうけどこのままじゃ手詰まりだから背に腹はかえられないか」

魔方陣が一瞬だけ強い光を発するとともにポンッという軽快な音を立てて煙を上げる。

ゆ？

煙がはれて見えてきたのは手のひらサイズの球体だった。

えねり「・・・失敗作ね。」

ゆ？

えねり「頭も悪そうだし小さくて弱そう。」

ゆ・・・。

えねり「まぁこんなのでも経験1ぐらいの価値はあるでしょ。」

ゆ！

えねり「これから言う事をよく覚えておくのよ。」

ゆ？

えねり「できるだけ多くのマナを集めてきなさい。」

ゆ？

えねり「はぁやっぱ理解してないか・・・まぁそのうち言語機能ぐらいは発達するでしょ。少し気長に待ってみますかね。」

ゆ！ゆ！


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エネリの手記２

えねり「だからこれはマナじゃなくて石だって何度言ったらわかるの？」

マナ！マナ！

えねり「・・・少しだけ喋れる様になったけどまだまだかかりそうね。はぁ。」

エネリツカレテル？

えねり「そうね、慣れないことしてるせいかちょっと疲れたわ。」

ユックリモットガンバル

えねり「はいはい、あまり期待しないで待ってますよ。」