この夢は何処から始まったのだろう、曖昧な記憶をゆっくり手繰る。

ごめんなさい、と私はいった。
共にはいられないと首を振った。

致し方なかったのだ。それが互いの最善であると思った。


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不揃いな紙質の小さな手帳。閉じこんだようにはさんだ万年筆で此処までさらさらと記述する。
一行は砂地地帯へ向かっている。
砂漠というものに思うところがある、と白波が口にしたという事もあったかもしれない。
確かに、過去居た世界には砂漠地帯があった。憶えている。
その空気を知れば何か分かるかもしれないとうなづいたのは自分である。

暑い。

日差しの強い周辺を見渡しながら淡雪はため息をついた。
その強い日射を浴びぬようにボロの布切れを外套のように纏い込む。
暑い、肌の焼けなど気にしないがやはり火傷のような皮膚を気にして進むのも気が引けた。

しかしこれほどに屈辱な事はない。この見知らぬ土地を進む為に人の…
しかも男の力を借りる事になってしまった。
彼らに非はない、弱いのは己だ。一人で進むことの出来ない弱い己。

遠く近く、後方でオースの声がした。
暑さでぼうっとした事もあったろう、単独の旅が多かった事もあったろう
半ば聞き流すような形で沈む足場を更に進んでいく。

強くなければ、私は強くなければ。
前足が重い、進む毎に気力まで落ち溶けていくようだ。
立ち止まる事は出来ない、それは弱さだ。強くあらねば。

歩調は緩むどころか早足で進んでいくばかりだった。
次に、咆哮に似た静止の声で我に返るまで。

…しまった。

異形に囲まれた事を、今まさにこのとき　知る。

　なんか騒がしい生き物がいる。
　見た目は白い服をベルトでぐるぐる巻きにしているような風体だが……
　罵声と溜息といろんなものが彼の方から聞こえた。
　……気のせいか彼の口は動いていないように見えたのだが。
　

40cmほどの大きさの人形がとても軽い足音立てながら走ってくる。

スカートを持ち上げて一礼。
笑顔を向けた後に、踊るようにしてくるりと背後へと回り込む。

遅れてやってきたのは、身長は170前後、青髪の耳長。