岩石観察日記：弐の巻
ラルフなる人間との戦いは、やはりと言うべきか、
岩山鉱助が勝利を収めた。もっとも、相手も本気では無かった様子ではあるが。
戦いを終えると、彼はのしのしとしばらく歩いた後、その辺の道端で座り込み、眠りについてしまった。
……正直、彼がそうやって寝ると道を塞ぐ大岩にしか見えないのは置いておこう。辺りを探って見れば、仲間を探しているかのような顔もちらほらと見えるが、こちらには来ない。
……まあそもそも、これを同じ一揆に参加している者だと認識しているかも怪しいものだが。
しかし、困ったな。これでは彼は孤立してしまう。
彼自身は気にしないだろうが、やはり私は色々な人間を見てみたい。
しかし、私が彼に出来る事はこれ以上何も無く。
結局の所、運に身を任せるしか無いのだろう。
そうして半分私が諦めていると、1人の少女が鉱助に近づいて来た。
その少女が何をするかを眺めて居ると、彼女は木陰で休むかのように、鉱助の体に背を預けて座り込んだ。
おそらく彼女も、鉱助の事をただの岩だと思っているのだろう。
生物だと気付いていれば、そのように背を預けないはずだろうからね。
さてさて、今鉱助が起きれば彼女は一体どのような表情を見せてくれるだろうか。
非常に見てみたくはあるのだが、私に出来る事と言えば鉱助に起きろと念を送るぐらいだ。まったくもって残念。
しかし、私の念が通じたのか鉱助は目を覚まし、立ち上がった。
これで、あの少女の感情を観察出来るとなると面白い。
しかし、そんな私の思いとは裏腹に、少女が見せた感情は少しの驚きだけであり、彼に対して対話を試みた。
いやはや、これは驚きだ。彼に対して対話を試みる者など流石に居ないと思っていたからね。
しかし、傍から見れば少女に襲いかかるモンスターな訳で、近くにいた青年が敵意をこちらに向けて居るのも、
仕方の無い事だろう。何より、敵意を向けられて喜んでいるのが岩山鉱助と言う者な訳で。
勿論私としてはこのまま戦いとなり、それを観察するのも面白いのだが、万が一でも鉱助が死ねば私も死ぬ……それは流石に勘弁願いたい。
よって、誰かがこの状況を収めてくれはしないかと考えていた所。
新たな青年が近寄ってきて、何事かを話すと、嘘のように場は収まった。
おそらく、お互い召喚された者だという事を明確にしただけではあるのだろうが。
そしてそれからの会話を聞き、鉱助が彼らの仲間になる事を決めた。
まあ、単純な彼の事だろうから、深くは考えて居ないのだろうが。
まあ、この展開は好都合だ。感情の監察がより多く出来る。
これからが、楽しみだ……
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俺の日記、その2

ゆっくり寝てたんだが、何か気配がすっから起きてみたら
俺にもたれかかって休んでる奴がいやがった。
けど、こいつ、俺を怖がらねえのな。故郷でも
見た目がイカツイからって怖がられたモンだが。
しかも、こいつらはちいせえし、余計怖いかと思ったモンだが。
そんな事考えてたら、こっちにバリバリ敵意向けてくる奴が居るじゃあねぇか。
いいねえ、戦い多くて飽きる事がねえ。
まずは一発ブチかましてーって思ってたら、
また別の奴が来てそいつをおさめちまった。
つまんねえ、戦いたかったのによ。
そっから小難しい話が随分と続いたから、大体は寝てたが、
仲間になろうって言うのは聞こえたからうなずいた。
おもしろそうだし、何より、俺にいちいちビビらないしな。
つーことで、一緒に魔王倒しに行くかぁ！