お父さん。お姉ちゃん。
志願兵になりたいって、わがまま言ってごめんなさい。
大変だよ？たくさん痛い思いをするかもしれないよ？死んじゃうかもしれないよ？って言ってたけど、
頑張って！ちゃんと帰ってきてね！って笑ってくれて、ありがとう。
とっても嬉しかったよ。

ぼく、どうしても二人を助けたかったんだ。
だって、お姉ちゃんがぼくを見つけてくれなかったら、ぼくが卵だった時に割られちゃったり、
お父さんがいいよって言ってくれなかったら、ぼく、もっと小さい頃に森で死んじゃったかもしれなかったんだよ？

それにね。ぼく、知ってるんだ。
ぼくがどんどん大きくなって、おうちが狭くなったから大きなおうちを建てるために、お父さんがお仕事たくさん頑張ってるのも。
お姉ちゃんが森で薬草とかをたくさん採ってるのも。お勉強たくさん頑張ってるのも。
それと、お父さんがお姉ちゃんにお母さんが大事にしてたもの、お金にしてもいい？って話してたのも。
ぼく、全部知ってるんだ。
お父さんがおうちに来た誰かに怒ってたのも。あれ、ぼくのせいだよね？

前に町に行った時の事、覚えてるかな？
皆ぼくの事見てたよね。ひそひそ話してたよね。
皆の目が怖いってなってたの。ぼく、分かっちゃったんだ。
だって、ぼくとおんなじ人見た事ないもん。ぼくはぼくがそうだから怖くないけど、皆はそうじゃないもんね。
ぼくも初めて会う人が怖いって思う時あるもん。皆もきっとそうだよね。
だからね。一揆っていうのに参加して、メルンテーゼって世界の人達を助けてあげたら、
ぼくの事をちゃんと人を助けられる奴だって、きっと分かってもらえるよね？

それにね。志願兵になるとたくさんお金がもらえるんだって。
ぼくも一人でお金を稼げるようになるんだよ？凄いでしょ！
だから、志願兵になりたいって言ったんだ。
あの時、ちゃんと話せなくてごめんなさい。
ちゃんと話したかったんだ。でも、ちゃんと言おうって思ったら頭がぐるんぐるんってして、ごめんなさい。
帰ったら怒ってもいいよ？ほんとは怒られたくないけど。

あ、そうだ。
志願兵になりたいって言いに行ったところでね。不思議な人に会ったんだ。
メルンテーゼに志願兵を連れてくための魔法陣を書くために、ここに来たんだよって言ってた。
ローブを着てて顔はよく見えなかったけど、男の人の声だったかな？
ぼくが武器と防具はどれにすればいいか迷ってた時、アドバイスしてくれたの。
それだけじゃなくてね。色々とくれたんだ。
ノートに鉛筆に、それとカバン。普通のカバンじゃなくて、魔法のカバンなんだって。
どんなものでも30個入る優れもの！なんだって。
それでね。とっても軽いの！凄いよね！ほんとに魔法のカバンだったよ！
あ、それとね。まだあるんだ。魔法の木箱！
これは中に入れたものをこの人に届けて！って念じるだけで送れる優れもの！なんだって。
だからね。試しに二人にお手紙書いてみたの。お手紙が送れるなんて、全然思ってなかったよ。
あ、封筒とかお手紙を書くものも全部、その人にもらったの。
どうして色々くれるの？って聞いたら、お前が気に入ったから、だって。
ね？不思議な人でしょ？でも、とってもいい人だったよ。
あ、お礼するの忘れてた。また会ったらちゃんとお礼するね。
また会えるといいな！

それでね。ぼく、ちゃんとメルンテーゼに来れたよ。
一揆に参加するには十分な実力を見せて、ネクターってお花を預けてもらわないといけなかったんだ。
あ、大丈夫だよ。ちゃんとネクター預けてもらったからね。
ぼく、とっても強いお兄ちゃんとおんなじハディートだもん！だからぼくも強いんだ！
それに友達だって出来たんだよ！
名前はクイトって言うの。エンブリオのサラマンダーって言うんだけど、まだよく分かんない。
でも、とっても優しいんだよ！一人じゃないって言ってくれたんだ！
戦うのはちょっと怖かったけど、でも、ちゃんと勝てたよ。クイトのおかげだね。

あ、ネクターが必要なのはエンブリオと契約するためなんだって。
メルンテーゼの人達は皆エンブリオと契約してて、色々助けてもらってたみたい。
だけど、そのネクターを王様が取り上げちゃったんだって。
それで新しく契約したくても出来なくて、皆困ってるんだって。
なんで王様は意地悪するんだろう？ぼく、よく分からないや。
でも、ぼくがクイトと友達になったみたいに、これから友達になりたいって思っても出来ないって事だよね。
意地悪はよくないってお父さん言ってたもんね。だから、ぼく、頑張るよ。
意地悪しないで！って、王様に言うんだ。

あ、そうそう。パーティ組んでくれる人も見つかりそうなんだ。
皆強そうなんだよ。ぼく、邪魔にならないかなぁ？大丈夫かなぁ？
クイトは落ち着いていけば大丈夫って言ってくれたけど、ちゃんと出来るかなぁ？

あれ？なんだかたくさん書いちゃった。
今日はこの辺にしておこっと。続きはまた後で書くね。
お父さん。お姉ちゃん。元気でね。ぼくも元気で居るから。
ちゃんと届くかな？楽しみだなぁ。
じゃあ、またね。

(何かを企むかのような表情を一瞬見せ。）