カセンは戦慄した。決して、かの邪智暴虐の軍師に逆らってはならぬと決意した。
カセンには大義がわからぬ。カセンは、只の忍者である。命を受け、利の為に働いてきた。
けれども相手の力量を読むことに対しては、人一倍に敏感であった。

「部下に平然と2000人組手を命じる軍師に、それを本当にやっちまう補佐。こいつら絶対まともじゃねぇ。逃げようとしても冗談抜きで地の果てまでだって追いかけてきそうだ…」

かくしてカセンは魔王パラダイスの打倒を掲げる軍勢の一員となる。
小隊として組む人員との顔合わせを行うのだが……。

「あの別嬪さんは気配からして蛇…いや、蛇神か？の眷属っぽいな。あの坊主も妙に気配がぶれてるあたり影か何かの類か？そして何故か女装が似合いすぎている男…こいつも違和感が拭えねぇ。人間なのは間違いなさそうだがどういうことだ？」

魔窟へと放り込まれたカセンの明日はどっちだ。