【お供との出会い】


　試験のようなものを無事にパスした私は、そのまま平原へと進むことにする。しばらく散策でもしてみようかなとうろついては見るものの、当然ながら右も左もわからない状態。
「もう…ここどこなのよぉ」
　地図なんて持ってないし、どうしたものかと途方に暮れた。少し休憩でもしようかと側にあった岩の上に腰を下ろし、一息つく。
　そしてなんとなく隣に目を向けると、一匹の犬がぺたりと同じように岩に腰を下ろしていた。
　一見柴犬のようだけれど、普通の犬とは何かが違う気がする。ただの直感だけど、こういう時の勘は冴えてるのだ。
　ちょうど仲間も欲しかった私は、思い切ってその犬に声をかけることにした。

「あのー」
「なんですか？…にゃ」
「見た感じ、あなたも私と同じように試験を受けてここへやってきたように思うんですけど…。あなたさえよければ私とパーティ組みません？（…あれ？今『にゃ』とか言わなかった？）」
　すると犬はちらりと横目で私を見ると静かに口を開いた。
「いいですよ。ただし条件がひとつあります…にゃ」
「じ、条件ですか…？わかりました…」
　一体何を言われるのだろうか。お金？それとも決闘とか？私は色々と不安になりながらもその犬の要求を待った。

「決まりました…にゃ」
　犬がそう言うと、さらに私の心臓は煩くなる。
　…けれどその空気も次に出た言葉で一気に変わることになった。

「仲間になる代わりに…貴女のことを『ご主人様』と呼ばせて貰います。…にゃ」
「……は？」
「それからご主人様になるわけですから敬語はなしで…にゃ」

　こうして無事に仲間（ペット？）が増えることとなりました。



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「そういえば、まだ名前言ってなかったね。私、ルアティナ。よろしくね」
「ああ、ボク名前ないんです…にゃ」
　少ししゅんとなった私のお供。
「そうなんだ…んー、じゃあ名前つけてあげるよ！えぇっとねぇ……エキストラクト、とかどうかな？」
「エキストラクト…気に入りました。ありがとうです…にゃ」
　初めて名前をつけてもらえて余程嬉しかったのか、お供−エキストラクトはにこにこして言った。

「さて…そろそろ進もっか」
「了解…にゃ、ご主人様」
　目の前に広がるのは平原。目的はまだ決まってないけど、エキストラクトと一緒ならきっと大丈夫だよね！