村を出てベネトナシュを探すと決めたとき、手当たり次第に荷物を背嚢に詰めて出てきたせいで、昨日は日記を書くための羊皮紙も筆も見当たらなかったんだ。日が出てから改めて背嚢をひっくり返して探したら出てきたので、まあ良しとするけれど。

今人を探すのならば王城前ではないか、とアタリをつけてやってきたが、逆にここは人が多すぎた。結論から言うと、ベネトナシュとの再会は叶わなかった。まあ、そんなに簡単に再会できるわけが無いのは最初からわかっていたことなのだ。彼と最後に会ってからもう大分経つのだから。

「……とはいえ、まだ諦めるには早いよね？」

一揆隊の一勢力として活動しているらしいと話には聞いている。ならば自分も一揆隊として活動するのが再会への近道ではないだろうか。

「……ま、なるようになるわ。ねえ、ミザール」

とりあえず挨拶の一つもしておくべきだろうか。
そんな考えから、メンバー一同へとひらりと青年は手を振って口を開いた。

……何やら一人思い悩んでいる様子で険しい顔である。