トートいうやつに出くわした。
よう分からんが、「なんでもない屋」らしい。
それって何もせぇへんて事ちゃうんか？

まぁゴッツい剣持っとるし、カザリってワケでもないやろ。
飛び道具持ちのワイとの相性はバッチシや！

「………」

最初に見たのは珍しい物を見る眼。者でもモノでもない、物。
この世界にはやや珍しそうな現代の乗り物があったのだ。
何度か見た事がある、至って普通のトラックだった。

「……えーっと」

だが普通のトラックは喋らんよな、そうだよな。なんだこいつ。
と、先程喋っている所でも目撃したのだろう。
ものすごく可笑しなものをみる眼をしながら。駐車しているトラックに声を掛けて見た。
ただの興味本位。行動資本10割それである。

「……あなたはトラック、ですか？」

まるで初期段階のAIのパターンを計測するかのように、慎重な聲で問いかけた。