２日目。

……夢を見た。

予知夢と言うモノだと言って信じる奴がどれだけいるか解らんが。
少なくとも、俺様の種族じゃ良くある能力の一つらしい。
見ようと思って見れるモンじゃねぇのは普通の夢と同じだ。
違うのは、それが現実に起こる事だと言う事だ。

砦。
多くの人。
その中で出会った二人の男。
二人とも、東洋系民族の顔立ち。
異世界を思わせる服装。——まぁ、余所の世界からの転移ってモンは珍しい事じゃねぇが。

片方は若造。
おっとりしたガキに見えるが、意外にも経験豊富。
きっと前衛としてイイ活躍を成すだろう。
……頭脳の方は……実用的な方向に期待する。
一緒にいる四角い箱…じゃなくて石か、アレは。

もう片方はオッサン。
俺様も体力については他人の事を言えたモンじゃねーが……。
……多分、俺より身体は弱い。ぜってー弱い。
だが、きっと俺様より知性と魔力はポテンシャルを秘めている。
学者って奴は時々魔術師越えた奴も存在するからな。

俺は二人に近づく。
そう、先に見た夢の中で、俺様はこの二人と並んで戦っていた。
実際に見てみると思ったより弱そうだが…。
これから鍛えれば済む事、か。

声をかけた時のキョトンとした顔と言ったら無い。
そりゃそうだ。二人は俺を知らん。
だが、そんな事はどうでも良い。
二人の主張なぞ知らん。勿論、俺様の主張も含まれてはおらん。

「縁（えにし）」

定めたるは二人をこの世界に導いたチカラ。
俺様は二人を導く者と定められた。
勝手の知らぬ世界に辿り着いた異邦人達よ。
共に歩むは運命の三女神が定めた事。
所詮、俺達は彼女達の駒に過ぎねぇのさ。