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拝啓　おじいちゃん、おばあちゃんへ

…先に書いておくね。
この文は私の精神が健康である為のものであって、愚痴。そう、これは愚痴の一種です。
どうか、何もツッコまず、私の話を聞いてほしい。お願いします。

…本題に入るね。
二人とも元気にしてますか？
私は今絶賛臨死体験中で、異世界の城の中に居ます。

先日、腐ったぬいぐるみの助手として異世界研究をすることになりました。
この世界では一揆が起きてるという事で、それに参加でもするみたいです。
なんかネクターっていう花が目当てらしいです。

早速、関係者の人に合って実際にその王様のところまで向かうところです。
私ヨーロッパとか行ったことなかったから、こんな城とか庭とか初めて見ました。

おばあちゃんとか、テンションあがりそうかな。
旅行とかテーマパークとか孫が引く勢いでテンション上げて回ってたもんね。

私といえば……　テンションが上がるわけもなく。

…いや、当然だろ。トラックに轢かれるところから今まで、絶賛臨死体験中だ。
私だって女なのだし１７なのだし、これくらいのナイーブを抱えて当然の身な筈だ。

庭に生えてる花もよくよく見れば図鑑でも見た事ない花だし…。
本当に異世界なんだろうな…どうやったら帰れるのかな…　パパ、心配してないかなぁ…。


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足元を歩く薄汚いぬいぐるみが、世間話を切り出すように話出した。
内心、イラッとする。
…死にかけてた私を助けたというのは、こいつらしいのだが、
今現在、私が現実に帰れないという原因もこいつだ。

助けたのだから、その恩として助手として働けというのだ。

助けてくれたのはありがたいのだが、その見返りに帰れないっていうのが
納得いかないというか…気持ちの整理がつかないというか…

不平を口にすれば、現実で寝たままの私の身体を人質に取ってくる始末だ。
しかも脅迫手段が変態以外の何者でもない。ここまで来れば、多少なりとも着てた恩も破り脱ぎたくなるわ。

ポーカーフェイスを作れるほど私は大人じゃなかった。
眉間に皴がよっているだろうなと思いながら、腐肉（私が付けたこいつのあだ名だ）を見た。

あーくそ。やっぱり恩なんて感じれるか。今すぐにでも着てた恩を破り捨てたい。
死ぬ思いまでしてる上に、こんなゲスな変態に動けない人の身体を人質にとられるとは。
悪い時には悪い事が起こる。マーフィーの法則だっけ。科学的な話じゃなくて、経験則の話だけど。

いや、落ち着け私。イラだってもしょうがない…大人になるんだ。
どうでも良い事とか、ポジティブな事を考えてやり過ごせ。

…そうだ、そもそも助手の仕事っていうのが終われば私は帰れるんじゃないか？
そうだよ、仕事がなければこいつだってきっと現実に帰るわけだし！
さっさと助手の仕事ってやつを終わらせよう…！

腐肉が見る先。整った花壇の中に、まるで蝶々にじゃれるような感じでぬいぐるみっぽいものが転がっていた。
見た目は、腐肉並にゆるいデザインで、おそらく猫…だろうな…と思う。

こいつも腐肉同様、もぞもぞと動いている。

…これと花の研究…　絵面が随分ファンシーな学問だなあ…

…というか、エンブリオというやつについて契約とか、ほとんど私知らないぞ。

RPGとかでは倒した後に「仲間になりたそうにこちらを見ている…」というのは良く見たけど。
あれはマゾの一種なんじゃないかと明美に言ったら、拳で語る友情ものの熱さを語られた事もあったな…。

それか…？いやまさか。ゲームじゃあるまいし。

まあ、研究分野なんだろうこいつもそういう仕事できてるんだから、こいつに任せれば何とかなるんだろう…

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……うん、やっぱり文で書くには収まりつかないレベルに突っ込みどころが多過ぎる。
もう二人も何をいってるんだかと思っているでしょうが…私も何を書いてるんだかって思います。

まあ、とにかく。パパやみんなに心配しないように言っておいてください。
なんとか、なんとか帰れるように頑張ります…。


敬具