それにしてもあの大男め。
「手加減するな」などと言うておきながら自分は相当に手を抜いておったな。
まぁ、噂ではあの日だけで二千人以上見て回っておったそうじゃから、それも已む無しかの。


支給品だと言ういくつかの素材を受け取った後は気侭な一人旅と洒落込もう…とも思うたが
結局、サダクビア所属の者と行動を共にする事にした。
赤毛の娘は自分を参謀だと名乗っておったからの。そういう者の忠告ならば聞き入れるべきじゃろう。


道すがらとある一体のエンブリオと遭遇し、契約を結んだ。
精巧な人形のようなそやつは幻惑系の力を持っているようじゃった。
先だって契約したオルテンシアと共にわしの力となってくれるじゃろう。
……頼りにしておるぞ、"ウィスタリア"


野生の獣にも王政側の者にも遭遇せぬまま道なりに進むと、見事な庭園が広がっておった。
少しばかり歩いた事じゃし、ここいらで休憩にしようと誰ぞが言い出した矢先の事じゃった。
わしらの前に招かれざる客人が現れたのは。

憩いの場を邪魔した罪は決して軽くはないからの。覚悟はできておろうな？