一般的に、魔法生物は成長しない。

魔法の力で生成された彼らは、はじめから完成された状態で産まれることが多く、成長する必要がない。成長する、ということは、最初は未熟な状態であるということであり、即時的な活動や成果を求められることが多い彼らにとって、成長とは非効率な過程になってしまう。

まれに成長する魔法生物もいるけれども、たとえば成長する生物を土台に魔法の力を与えた場合であったり、意図的に制作者が成長の魔法を組み込んだ場合であったりする。前者は私が興味を持つ純粋な魔法生物とは言いがたいし、後者は高度な魔法技術を必要とするため、かなりレアなケースだ。あとは、成長ではなく、外部の力を吸収することで、あたかも成長したようにみえるパターンもある。吸収と成長は外から見ると似てはいるが、根本的に異なるものだ。
やはり、私の知る限り、魔法生物は成長する生命体とは言い難い。

私がエンブリオとして契約したシルウィアも、他の世界で見てきた純粋な魔法生物と同質の生命体のように考えている。エンブリオと呼ばれる生命がいったいどこからくるものなのか、よくわかってはいないが、意図的に術者が魔法で作りだしているのではなく、自然発生的にこの世界に生を与えられているようにみえる。彼らはこの世界に生きる生命体として、自ら成長しているのではないだろうか？

より多くのエンブリオと接し、調べていけば、魔法生物とその成長について、何か新しい知見が得られるかもしれないと、期待に胸が高まっていた。

話しかけられると、ふしぎなものを見る目で、じーっと見返します。

小さい、と言われたのが不満だったのか、そんな風にむくれて見せました。
が、すぐにその顔は、へにゃりととけます。

かわいらしい、といわれたのは、嬉しかったようです。