第一話　アスタリスクゼミナール

カタコトと揺れる馬車の音がどこか安らぎを与える。
舗装された道路と、ゴム素材を使った良質な車輪のおかげで、長旅の間さしたる苦労は無かった。
学者を出て船で大陸を渡り、到着次第馬車を使って向かった先は、エルンテーゼの中心である王城だ。
新緑に覆われた美しい景色の中を、木漏れ日を渡って進む馬車に揺られること半日。
日の出と共に出立したはずの旅路は、いつのまにやら日が高く上る時間になっている。
馬がいななき、揺れが止まる。どうやら目的地に到着したようだった。

手のひらサイズの文庫本を顔にかぶせて一人で椅子に横になっているのは、所属する大学の担当教授、アスタリスク博士だ。その博識から世界に名を知られる天才である。

そういいつつ教授が起きるのを手を差し伸べ助ける。すばやく自分の荷物を持ち上げ、ついでに教授の荷物も抱え上げる。とは言っても手荷物程度で大した量ではないのだが。

馬車を降り見上げる先にあるのは白亜の城。
長大な城壁と天然の要塞とも取れる山岳を背にしたこの世界の中心。
唯一の王、パラダイスの住居だ。

馬車越しに城を見上げるアスタリスクの白衣を、風が揺らして過ぎていく。
そこに大荷物を抱えた精悍な顔つきの男がぬっと姿を現し、教授に向かって片手を上げた。
もう一人の旅の同行者である学友の鳴丸君だ。
背いは馬車の上に括り付けていた三人分の荷物を担いでいる。衣服やら書類やら、色々入っていて、かなりの重量があるのだが、これをけろっと持ち上げてしまうナイスなタフガイである。
もっとも、見た目はそんなに筋肉質ではないのだが、本人曰く着痩せするらしい。

放っておくとこの二人はお財布の続く限り酒の飲み比べを始めるので、早めに釘をさしておかないといけないのである。因みに鳴丸君はお金が無いので、酒代は全てアスタリスク教授持ちだ。
その為、酒代は肉体で返すとばかりに、肉体労働全般は鳴丸君の仕事になっていた。

一行は王城前の坂を上り、中腹辺りにある宿屋へと歩を進めていく。

危ない少女を乗せた高級馬車が3人の横を通り過ぎて行った。

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パソコン壊れると、書きづらいものですね。
早くいいのみつけないと、外部モニター出しは首が痛いです。
うぅぅ。