結局、傷面のオヤジはロクなネクターも寄越さず消えた。
……まァ2000人もの腕試しを強いられたのは気の毒だと思うがな。
爪の垢にも満たねェ量じゃ、やってらンねェってモンだ。
王を殺るのがなんだかんだ言って、一番手っ取り早いンだろう。

とはいえ、こんだけ立派な城砦に攻め込むのは面倒でしょうがねェ。
真正面からぶつかる連中もいるみてェだが、ありゃあ馬鹿の集まりだろうな。
喧嘩も攻城も大して変わらねェ。脇が甘ェ所を刺す。
不意打ちでも奇襲でもなんでも最後に勝ちゃあそれでイイ。

ツレは全部で7人。
上出来だ。殺しは多すぎても邪魔なだけだ。
……ああ。でも駒の腕試しぐれェはしておかねェとな。

唐突に投げ付けられた暴言とも取れる言葉の数々を受け、ずかずかと間合いを詰める。
そして、相手の顔面に頭突きする勢いで真正面から睨み付けた。

ただただ睨み付ける。少し経った後、再び口を開く。

鼻をつまみながら顔を遠ざけ間合いを取る。それでも、互いに手が届く距離。充分近い。

相手に向かって、ひらひらと軽く手を振る。

味方側の面々を見渡す