……気が付けば、ここにいた。
ここはどこだ？私の記憶にもない場所だ。
それに私自身今までのことがほとんど思いだせない。記憶がなくなっているということか？
唯一はっきりと残っていた記憶は私が『蛇の化身』であり、
下僕たる蛇はいずれも私の思うように従い、また私の体を覆って身を守っていてくれることだけだ。
幸い長い付き合いであったはずの『カガチ』を始め従える蛇は今もなお多く残っている。
そのことに安堵した私は、一先ず今いる場所について調べることにした。

周囲の人から話を聞いた限りではここでは王とやらが蛮行を繰り返し、耐えかねた住民が一揆を起こそうとしているようだ。
そこで別の世界からも精鋭を集め……どうやら私もそれでここに呼び出されたらしい。
となると、その一揆とやらに関わり戦を有利に進めることこそが私の使命ということか。

話を聞くうちに体内の蛇たちが体の表面を動きまわり、そしてその動きから私に囁く。
どうやら蛇たちはこの状況にあって戦いを望むようだ……よろしい、成すべきことは見つかったばかりだ。
この長く続くであろう『暇潰し』……私にとって愉快で有意義なものであることを願おう。

まずは何をしようか……問題は戦を有利に進める手が私と蛇たちだけでは『たった２本』しかないことだ。
ここは協力できる同志を探し、あわよくば共闘を結ぶのも面白いか……
これからの暇潰しに思いを張り巡らせつつ私は王城の方へと足を進めていった。