たとえば、身寄りもない無垢な幼子をひとり殺したとして、
その罪が許されることはあるのかと修道院の司祭に問うたことがある。

子が死んだ事を嘆く親はすでに亡く、
やせ細った彼を雇う主人はおらず、
ただ、死を待つばかりのか弱い身体から、
その中身を少々頂いて金に換えたとして。

死んだ子の為に嘆くものは無く、誰にも知られず、
蛆に漁られ土くれに還るを待つばかりの命を奪ったとして。

それを見るものが神と己だけだったときに、
それを許せるものが、彼と私だけだったときに

神は、無垢なる命を奪った私を赦すのか。



犯した罪とは、許されていいものなのか。と。