この世界へ降り立ってすぐ、女と会った。
彼女が人とか、そういった類からは外れたモノだというのはすぐに知れた。
彼女の艶やかな黒髪に似合うだろうと傍らに咲いていた赤い花を飾ったら、
彼女は驚いた様に目を見開いて、
それから少し笑って、
そして頷いた。




赤は滾る血潮の色。
青は頬濡らす涙の色。
黄は辺り照らす笑顔の色。
緑は微睡む微笑みの色。

指を差し入れざらりと掻き回せば、
硝子と擦れる硬質な音。

一粒噛み砕いた紫は、
密やかな夜の帳の色。





さぁ、この世界ではどれだけ美味しい色に出会えるだろう。