何も知らない場所に放り込まれて、あれよあれよという間に話が進んでいく。ちょうど、私が傷心旅行を始めたときと似ているなと感じて、微かな懐かしさを覚えてしまいそう。
　あのときの私よりは、今の私の法がよっぽど落ち着いていると思うけどね。でも、これは慣れと言うよりは諦めの方が近いんじゃないかな。落ち着いているっていう意味じゃどっちも同じだけど、今の私には、なんのやりたいことも、目的も、ないんだもん。
　私とお人形君がごちゃごちゃと話してる間にも、ラルフさんとルリアンナさんはお構いなしに一揆についての説明を続けている。
　それも、まあいいかと思いながら聞き流していると、不意にラルフさんがこんなことを言い出したんだ。

　……うーん、と。

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　労働条件の明示

　労働基準法では、使用者は労働契約の締結に際し、賃金、その他の労働条件を明示しなければならないことになっています。
　また、この場合において厚生労働省令については、書面の交付による方法により明示しなければならないとされています。

　以下は書面交付により明示すべき労働条件です。

・労働契約の期間に関する事項
・就業の場所および従事すべき業務に関する事項
・労働時間に関する事項として
　①始業および終業の時間
　②所定労働時間を超える労働の有無
　③休憩時間
　④休日
　⑤休暇
　⑥交替制労働による就業時転換に関する事項
・退職に関する事項（解雇の事由を含む）
・賃金に関する事項
　①決定・計算方法
　②支払いの方法
　③締め切り、支払時期
　④昇級に関する事項
　⑤退職手当に関する事項
　⑥賞与および最低賃金額に関する事項。
・その他

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「お待たせしました」とルリアンナさんとラルフさんを振り返ってみたら、二人ともなんか唖然とした顔をしていた。そりゃそうかもね、今まで、一揆に参加する人で労働契約をしっかり詰めましょうなんて人、きっと居なかったに違いないから。
　ううん、そもそもこの世界にはそんな考え方もなかったのかもね。だから、一揆なんて起こるんだもん。

　本当は暴力で物事を決めるのもダメなんだけど、今はそれがここのルール。覚悟を決めて、私は古い古い銃を構えたんだ。
　
　……ん、お人形君。何か言いたそうな顔をしているね。

　お姉さん、勘のいいガキは嫌いだな。