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ある寒い冬のこと。
何年ぶりかの厳しい寒さ。
村の貯蔵庫も兼ねた深い穴蔵の中、大人も子供も、みんな眠って過ごす久々の冬。
厳しい冬も、眠ってしまえばすぐ過ぎるから。
目覚める頃には、温かい春がやってくるから。
「さあ、あなたも早く寝たら？」
隣の親友に促され、目を閉じる。
「春になったら…」
春になったら、あたしたちはもう大人だから…

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結局目が覚めたのはもう夏に近づいてきた頃。
生きてたのか!?って長老さまも驚いてた。
あたし達ヒトクマ族は大人になる時に旅に出る。
鮭が川から海に旅立ってまた故郷に帰って来るように、そんなたくましい大人になりなさい、って意味があるんだって。

幼馴染のメルルもグリズ君もすっかり旅に出ていて、残ったのはあたし一人。
一緒に行こうって決めてたのに…

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旅立ってから気づけばもう一週間。
ついつい一人が寂しくて、そんな旅立ちの日のことを思い出しちゃった。
見渡す限りずっと森の中。2日も歩けば街道に出ると思ったんだけど…

その辺りの葉っぱとか、食べられるかなぁ…？

足元にコツンと当たった小さな瓶。
中には…妖精さん!?

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瓶から出してあげた妖精さんと一緒に進む森の中。
話し相手がいるだけでも心強いしとっても嬉しい。
でも、自分から話をするのは好きじゃないみたい。
どうして瓶に閉じ込められてたのかとか
聞きたいことはたくさんあるけど話したくなったらでいいよね？

妖精さんが何かに気づいたみたい

指さした先は森の出口。そして遠くに見えるのは大きなお城。

久々に見る建物。近くに街とかあるのかなぁ…

声をかけてきたのは大きな帽子をかぶった女の人。

一揆？
何かよくわからないけど困ってるみたい。
まずは、話を聞いてみようかな…
あたしにできること、何かあるかな？