—こうしてあたしは、三度、『世界』を渡った。
…うちの財政状況、本当に大丈夫なんだろうか？帰りの代金、自分で稼ぐくらいのつもりの方がいいのかなぁ…。

さて。
ここでは、“エンブリオ”との契約が必須みたい。
前の『世界』でも似たようなのを連れていたし、さほど戸惑うこともなく、あたしはそれを受け入れた。
フェアリー。
妖精種…でいいのかな？彼女(少なくとも外見は女の子だ)はにこにことあたしの方を見ている。

「あなた、名前は？」
「ナマ、エ？」

くりっと首をかしげられた。かわいい…

じゃなくて。
人語を解する程度の知能はある、と。魔法が使えるみたいだし、そのくらいは当然かな。
…なんて、ユミル兄さんみたいに分析してみる。

この世界における彼女たち“エンブリオ”は、
生活の基盤にして、
攻守の要にして、
守るべき対象だ。
でもまぁ、そんなに難しいことを考えるつもりはあたしにはなくて。

「じゃあまず、名前を考えないとねー」



そんな冒険の始まり。